研究課題/領域番号 |
23791078
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山根 利之 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30452220)
|
キーワード | 造血幹細胞 / 造血発生 / 幹細胞 / 細胞分化 |
研究概要 |
造血幹細胞は、単一細胞レベルで成体マウスへ移植し長期間にわたり造血系を再構築可能な自己複製能と多分化能を兼ね備えた細胞と定義される。胚胎内において、この定義をみたす造血幹細胞は、未分化中胚葉細胞から新規に造血細胞が形成される時期に遅れて発生する。この時間的空白を埋める細胞集団として、造血幹細胞へ分化する前駆細胞(プレ造血幹細胞)の存在が強く示唆されており、本研究課題では、以前我々の単離した発生最初期の多能性造血前駆細胞とプレ造血幹細胞の同一性について精査するとともに、プレ造血幹細胞から造血幹細胞への移行に細胞内因子を明らかにすることを目的とした。 本年度は、プレ造血幹細胞との同一性が強く示唆された発生初期の卵黄嚢に極微量存在する多能性造血細胞と胎仔肝臓の造血幹細胞の遺伝子発現プロファイルを作製した。また胚性幹細胞に由来する多能性造血細胞もプレ造血幹細胞との類似性を多く有することから、卵黄嚢と胚性幹細胞に由来する多能性造血細胞に共通して胎仔肝臓の造血幹細胞との間に発現に差異のある転写制御因子群を明らかにし、これらの転写制御因子が造血系の再構築能の獲得に関与しないか現在、検討を行っっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発生初期胚のプレ造血幹細胞と胎仔肝臓の造血幹細胞の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイ解析にて比較し、発現差異のある遺伝子群の機能解析を進める予定であったが、発 生初期胚のプレ造血幹細胞がごく微量なため、信頼性の高いマイクロアレイ解析を実行できるまでに技術的改良を行わなければならず、この技術改良に時間を要したため、実験計画がやや遅延した。
|
今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、プレ造血幹細胞が造血系を再構築可能な造血幹細胞へ移行する現象の分子機構を探索するとともに、そこから得られた知見を、胚性幹細胞などの万能性幹細胞から造血系を再構築可能な造血幹細胞を作製する技術の開発を試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記の計画に必 要な消耗品費や技術補佐員の人件費へ充てることとしたい。
|