研究課題
造血幹細胞はその内在性プログラムのみならず、周囲の特殊な環境下(ニッチ)で維持されていると考えられている。したがって、造血幹細胞の維持機構を解明するためには造血組織での造血幹細胞の局在を同定することが最も重要である。この考えに基づき、造血幹細胞を高純度で純化でき、かつ局在を同定しうる確実なマーカーを見出すことを目標としている。前年度にDNAマイクロアレイの手法を用いた解析の結果、成体マウス骨髄細胞中で造血幹細胞に特異的に高発現していたplexin domain containing 2 (Plxdc2)が実際に全骨髄細胞中わずか0.2%にしか発現しておらず、移植実験の結果から、全ての造血幹細胞はplxdc2陽性であることがわかった。次に他の既知の造血幹細胞マーカーと組み合わせた結果、plxdc2とCD150の2種類のマーカーの組み合わせのみで骨髄中の0.01%にまで純化できることが可能であることがわかった。このPlxdc2+CD150+細胞を一つ一つソートし、single cell移植を行ったところ、Plxdc2+CD150+細胞の約半数がレシピエント骨髄に生着し長期造血再構築能を有していた。すなわち、Plxdc2+CD150+細胞は約半数が造血幹細胞であることが強く示唆された。また、骨髄Plxdc2陽性細胞は造血幹細胞以外の細胞も含み、種々の解析の結果、それらの細胞はTh2サイトカインを産生する比較的均一な集団であることもわかった。
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