研究課題
前年度、Hic-5 が血小板凝集の Inside-Out および Outside-In signal の制御に重要な役割を担っているとの仮説のもと、遺伝子改変マウスを用いて個体レベルでの出血能変化を測定した結果、Hic-5 欠損により出血時間の大幅な延長が見られたことから、当該年度は血小板凝集抑制メカニズムについて解析を進めた。血小板凝集抑制メカニズムについて、まず血小板凝集の直接の担い手であるαIIbβ3 の活性化制御を中心に解析を発展させた。まずHic-5 欠損血小板刺激時に、αIIbβ3 の活性化が正常に起きているか抗CD41抗体、抗活性型 αIIbβ3 抗体(JON/A)を用いてFACS解析を行ったところ、Hic-5欠損血小板ではαIIbβ3の活性化が抑制されているとこが明らかとなった。さらに、Hic-5 が血小板内のどのインテグリン下に局在しているかmagnetic beadsを用いた免疫沈降ウエスタンブロットにより調べたところHic-5はαIIbβ3と共沈した。このことからHic-5が血小板内でインてグリンαIIbβ3下流に存在していることが明らかとなった。さらに αIIbβ3 下の Hic-5 結合分子が Hic-5 欠損によりインテグリンとの相互作用に変化が起きるか、免疫沈降により他の分子の蛋白量変化を検討した。その結果、Hic-5欠損によりαIIbβ3 に結合するアクチン量が減少することが見いだされた。
2: おおむね順調に進展している
Hic-5欠損マウスにおける血小板凝集抑制メカニズム解析が順調に進展した。具体的には、血小板凝集の直接の担い手であるαIIbβ3 の活性化制御を介することが、抗CD41抗体、抗活性型 αIIbβ3 抗体(JON/A)を用いたFACS解析より明らかになった。さらに、Hic-5 が血小板内αIIbβ3と共沈することや、Hic-5欠損によりαIIbβ3 に結合するアクチン量が減少することが見いだされた。
さらに詳細なメカニズムの解析に関して、血小板凝集関連分子やHic-5の血小板内局在変化を免疫電子顕微鏡法を用いて検討する。抗体に標識してあるGold colloidの直径を変えることで複数の分子の局在を同時に観察する。さらにヒト血小板内のHic-5の挙動に関して同様に免疫電顕法や免疫沈降法を用いて検討する。
実験動物の繁殖維持、ヒト血小板サンプルの解析費用。
すべて 2013 2012
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