研究概要 |
本課題は、CD4陽性CD25陰性LAG3陽性 制御性T細胞(以下、LAG3 Treg)による自己反応性B細胞制御機構の解明を目的とした。 平成23年度は、LAG3 TregによるB細胞抗体産生抑制能評価、抑制に関わる分子の同定および、LAG3 Tregの誘導機序解明を行った。SLEモデルMRL/lprマウスを用いて、LAG3 TregおよびCD4陽性CD25陽性 Tregの養子移入を同時に比較解析することで、自己抗体産生制御においてはLAG3 Tregが重要な役割を果たしているという知見を得た。また、その分化・誘導はT細胞、B細胞の共通抗原認識を介した抗原特異的なものであり、抑制機序はPD-L1を介していることを明らかにした。 当研究室では、LAG3 Tregによる抑制能が転写因子Egr2に規定されることを報告している(PNAS. 2009, 106:13974-9)。平成24年度は、LAG3 TregにおけるEgr2の役割を、Cre-loxP遺伝子組換えシステムを用いたT細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウス(CKO)を用いて行った(Egr2fl/fl CD4-Cre+マウス)。その結果、Egr2 CKOマウスから回収したLAG3 Tregは抗体産生抑制能が減弱していた。さらに、Naive T細胞にサイトカイン IL-27を添加することで、STAT3依存性にEgr2発現が誘導されるという知見を得て報告した(Eur J Immunol. 2013, 43: Epub ahead of print)。 上述の如く、本課題においてLAG3 TregによるB細胞制御機構には転写因子Egr2が中心的役割を果たしていることを明確にし、また、その抑制性分子としてPD-L1を同定した。さらにLAG3 Tregの詳細な分化・誘導メカニズムを解明し、当初の目的を十分に達成した。
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