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2011 年度 実施状況報告書

病的CD8陽性T細胞を標的とする新規抗原特異的免疫抑制療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23791109
研究機関熊本大学

研究代表者

平田 真哉  熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (60418829)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード抗原特異的免疫制御療法 / マウス筋炎 / CD8陽性T細胞
研究概要

平成23年度、勤務施設の異動に伴い、まずは実験系の移行を行った。C蛋白質誘導性筋炎(C-protein induced myositis, 以下CIM)の実験系の確立のため、HisタグのついたヒトC蛋白質断片の遺伝子をトランスフェクションした大腸菌を作製し、これを培養・蛋白質産生誘導した。大腸菌を超音波を含む手法で破砕し、コバルトあるいはニッケルカラムで吸着し、洗浄ののち溶出して精製した。これを、透析で溶媒置換し、リフォールディングして、作製した。およそ1Lの大腸菌培養液から、10mg前後のC蛋白質断片を精製することができた。SDS pageでサイズ、精製度も良好であった。このC蛋白質断片をC57BL/6マウスに免疫して、21日後に大腿四頭筋・屈筋を採取し、ホルマリン固定の後、パラフィン包埋し、病理組織切片を作製して、筋炎の評価を行った。新任地においてCIM実験を開始することができた。 遺伝子改変マウスES細胞由来樹状細胞を用いた抗原特異的免疫制御療法の開発のため、ES細胞実験に必要な実験器具・試薬を整えた。これまでに、TRAILやPD-L1などの免疫抑制性分子を遺伝子導入したES細胞を作製している。 また、ヒトC蛋白質断片を認識するT細胞受容体(TCR)を採取するため、CIMマウスから回収したCD8陽性T細胞でハイブリドーマを作製し、C蛋白質に対する抗原特異性を検証した。これまでに、安定した結果を得るに至っておらず、ex vivoでCIMマウスのCD8陽性T細胞のヒトC蛋白質断片に対する抗原特異的反応を検出することが大変難しいことをふまえると、C蛋白質断片を認識するCD8陽性T細胞集団が少ないことが予想される。目下のところ、実験系のブラッシュアップ中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

所属の異動のため、実験系の移行が必要であったが、設備・機器・試薬の整備など一からの準備ではあったものの、比較的順調に進めることができて、平成23年度内にCIM実験系を開始することができた。また、遺伝子改変マウスES細胞、C蛋白質を認識するCD8陽性T細胞ハイブリドーマ実験など抗原特異的免疫制御療法の準備実験を着実に遂行できた。以上のことから、本年度の予定をおおむね順調に進展できたと考えている。

今後の研究の推進方策

次年度は、CIMを安定して十分な規模で行うことができるように実験の安定化を図る。また、CIMを誘導するC蛋白質と免疫抑制性分子を遺伝子導入したES細胞の作製と樹状細胞(ES-DC)の分化誘導を試みる。これをCIM誘導前(予防実験)あるいは誘導後(治療実験)に投与し、筋炎に与える影響を調べる。また、CIMマウスから採取したCD8陽性T細胞のハイブリドーマを再度スクリーニングしてC蛋白質を認識するTCRを明らかにし、このTCR遺伝子導入したCD8陽性CD122陽性制御性T細胞の作製を試みる。この制御性T細胞をCIMマウスに投与して、発症の予防あるいは治療効果を検証する。さらには、CIMマウスより採取したC蛋白質を認識するCD4陽性T細胞にFoxp3遺伝子を導入して制御性T(Treg)細胞化し、これをマウスに移入してCIMの発症を検証する。これによりTreg細胞のCD8陽性T細胞による自己免疫疾患における影響を検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の本研究の経費としては、C蛋白質断片の精製、および動物実験に必要なマウスの購入と飼育、CIMの誘導に必要な試薬の費用が大部分を占める予定である。さらに、消耗品費用として、細胞培養用の一般試薬やチューブなどの消耗品、ならびに検出試薬の購入費用が必要と考えている。また、他施設の優れた技術の習得のための調査・研究費用、および情報収集や成果の発表のための成果発表費用、学術雑誌の投稿ならびに掲載のための諸費用の計上を予定している。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 筋炎におけるサイトカイン異常2012

    • 著者名/発表者名
      平田真哉
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 30(3) ページ: 296-300

  • [雑誌論文] 筋炎におけるサイトカイン2011

    • 著者名/発表者名
      平田真哉
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 239(1) ページ: 53-57

  • [雑誌論文] Immunotherapy with pluripotent stem cell-derived dendritic cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Senju, S., Matsunaga, Y., Fukushima, S., Hirata, S., Motomura, Y., Fukuma, D., Matsuyoshi, H. and Nishimura, Y.
    • 雑誌名

      Semin Immunopathol

      巻: 33(6) ページ: 603-612

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oligomannose-coated liposomes efficiently induce human T-cell leukemia virus-1-specific cytotoxic T lymphocytes without adjuvant.2011

    • 著者名/発表者名
      Kozako, T., Hirata, S., Shimizu, Y., Satoh, Y., Yoshimitsu, M., White, Y., Lemonnier, F., Shimeno, H., Soeda, S. and Arima, N.
    • 雑誌名

      FEBS J

      巻: 278(8) ページ: 1358-1366

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of HLA-A2-restricted CTL epitopes of a novel tumour-associated antigen, KIF20A, overexpressed in pancreatic cancer.2011

    • 著者名/発表者名
      Imai, K., Hirata, S., Irie, A., Senju, S., Ikuta, Y., Yokomine, K., Harao, M., Inoue, M., Tomita, Y., Tsunoda, T., Nakagawa. H., Nakamura, Y., Baba, H. and Nishimura, Y.
    • 雑誌名

      Br J Cancer

      巻: 104(2) ページ: 300-307

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Peptides derived from human insulin-like growth factor-II mRNA binding protein 3 can induce human leukocyte antigen-A2-restricted cytotoxic T lymphocytes reactive to cancer cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Tomita, Y., Harao, M., Senju, S., Imai, K., Hirata, S., Irie, A., Inoue, M., Hayashida, Y., Yoshimoto, K., Shiraishi, K., Mori, T., Nomori, H., Kohrogi, H., and Nishimura Y.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 102(1) ページ: 71-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)とC蛋白誘導性筋炎(CIM)について2011

    • 著者名/発表者名
      平田真哉,上阪等
    • 雑誌名

      免疫疾患-疾患モデルの作製と利用

      巻: 1 ページ: 92-97

  • [雑誌論文] 器質化肺炎2011

    • 著者名/発表者名
      平田真哉
    • 雑誌名

      リウマチ科

      巻: 46(5) ページ: 467-471

  • [雑誌論文] CD8+T細胞のtranscription signatureは自己免疫疾患の予後予測に有用である2011

    • 著者名/発表者名
      平田真哉
    • 雑誌名

      リウマチ科

      巻: 45(3) ページ: 285-290

  • [学会発表] Chemokines expressed by the regenerating muscle cells in murine myositis model2011

    • 著者名/発表者名
      Shinya Hirata, Naoki Kimura, Nao Tateishi, Ayaka Maeda, Nobuyuki Miyasaka and Hitoshi Kohsaka
    • 学会等名
      第55回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      神戸(神戸ポートピアホテル)
    • 年月日
      2011年7月20日
  • [学会発表] マウス筋炎モデルにおける再生筋線維が発現するケモカインの役割について2011

    • 著者名/発表者名
      平田真哉
    • 学会等名
      第3回筋炎ワークショップ(招待講演)
    • 発表場所
      東京(海運クラブ)
    • 年月日
      2011年10月1日

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公開日: 2013-07-10  

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