研究課題
交付申請書の目的および実施計画に記載した通り、抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陰性リウマトイド因子(RF)陰性関節リウマチ(RA)血清8検体を用いたAlphaScreen法によって絞り込まれた自己抗原候補蛋白中、全8検体で反応を認めた11蛋白のうちの3蛋白(蛋白(4)、(5)、および(11))と、8検体中7検体で反応を認めた(残る1検体は弱反応)、興味深い1蛋白(蛋白(12))について、まずWestern blot (WB) によって自己抗体の存在の確認を行った。蛋白(11)および蛋白(12)については、positive controlとして用いた市販のモノクローナル抗体および患者血清のすべてでバンドが認められた。一方、蛋白(4)および(5)については、血清ではバンドを認めたものの、市販のモノクローナル抗体では反応が認められなかった。 次に、WBで反応が確認できた蛋白(11)および蛋白(12)については、ACPA陽性RF陽性RA患者、全身性エリテマトーデス(SLE)、および健常人を対照として、予備的にELISAを施行した。ELISAは大腸菌に発現させた市販のリコンビナント蛋白をELISAプレートに固相化し、100倍希釈血清を用いてアッセイを行った。結果、健常人(n=5)のOD+2SDをcut-off値とした時の陽性率は、蛋白(11)でACPA(-)RF(-)RA 1/7、ACPA(+)RF(+)RA 1/7、SLE 2/7、蛋白(12)ではそれぞれ3/7、3/7、1/7、であった。
3: やや遅れている
Western blot(WB)にて、2つの蛋白においては、AlophaScreen法で用いた血清では反応を認めた一方では、市販のモノクローナル抗体では反応が認められず、その原因を追及しているところである。また、今後の研究の推進方策で述べるとおり、WBとELISA結果にも乖離が認められたため、その原因の追求と対策も行っている。
AlphaScreen法にてACPA(-)RF(-)RAでも多数の自己抗体が存在する可能性が示され、まずそれらの自己抗体を確立する端緒として、2種の(推定)自己抗原蛋白に関して、WBおよびELISAによる自己抗体検出の確認を行った。無細胞蛋白合成系で生成した蛋白を用いたWBではきちんと自己抗体が検出できたが、大腸菌発現系で生成した蛋白を用いたELISAでは検出率が悪く、立体構造など蛋白の質の問題の可能性もあり、無細胞蛋白合成系蛋白を精製し純度を上げてELISA法を行うなど、改良を試みる予定である。
本年度と同様に、免疫学試薬(Western blot用、蛋白精製、ELISAプレート作成用、など)や、実験用消耗器具を中心に使用する予定である。 また、平成24年度は本研究の最終年度となるので、本年度は学会発表や論文報告が予想されるため、研究費から必要経費は充てる予定である。
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