ヒト関節リウマチ(RA)患者のCD4T細胞を細胞内サイトカイン染色で評価した。RA患者末梢血では、CD4T細胞の5~10%がGM-CSFを産生しており、その割合は健常人と比較して有意差がなかったが、関節炎局所ではその割合が増大していた。関節局所でGM-CSF産生CD4T細胞が増大するメカニズムを解明するため、健常者のnaive CD4T細胞をin vitroで抗CD3/28抗体刺激し、RA患者の滑膜細胞(FLS)とともに共培養したところ、著明なGM-CSF産生の誘導がみられた。この共培養系におけるGM-CSF産生の誘導には、FLSとCD4T細胞の細胞接触が重要であることを見出し、その分化誘導にかかわる分子を同定した。この分子の阻害は関節リウマチに対する新規治療につながる可能性がある。 また、動物モデルにおいては、関節炎モデルマウスであるSKGマウスを用いて実験を行った。関節炎を生じたSKGマウスの関節炎局所では、IL-17産生細胞の増大とともに、GM-CSF産生分画が増大していた。そこで、GM-CSFノックアウトSKGマウスを作成したところ、このマウスは関節炎抵抗性となった。SKGマウスのドナーCD4T細胞をレシピエントのRAGノックアウトマウスに移入する実験において、ドナー、レシピエントいずれのGM-CSFが欠損しても関節炎の重症度が低下しため、CD4T細胞の産生するGM-CSFのみならず、CD4T細胞以外の細胞が産生するGM-CSFも関節炎発症に重要であることが分かった。SKGマウスの関節炎発症にGM-CSFが関与するメカニズムについて、引き続き実験をすすめる予定である。
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