研究課題/領域番号 |
23791115
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
有馬 和彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30423635)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 生理活性 / プロテアソーム / 遺伝子 |
研究概要 |
中條―西村症候群は、本邦にしか報告のない原因不明の遺伝性炎症性疾患である。その罹患患者数の少なさから本症候群の存在は広く認識されていたが、科学的原因解明の検討や特効的治療法の開発は行なわれていなかった。 我々は罹患患者とその家族の大きな協力を頂き、本症候群の原因解明に成功した。その原因とは、プロテアソームサブユニットの疾患特異的遺伝子変異であった。我々の発見まではプロテアソームの遺伝子変異報告は皆無であった。つまり、初めての中條ー西村症候群における原因解明であり、ヒトにおける初めてのプロテアソーム機能異常症の発見である。 プロテアソームとは、ヒトの全ての細胞が持っている分解酵素である。プロテアソームは有害で危険な蛋白質を分解廃棄することで、細胞内蛋白の品質管理を司っている。 平成23年度の本研究課題では、研究実施計画の如くに以下の検討を行った。1 患者由来培養細胞のクローン化。混合培養細胞集団である、患者由来不死化リンパ芽球細胞から複数のクローンラインを得た。2 人工融合タンパク質を用いたプロテアソーム機能不全迅速検出系の樹立。アミノ末端規則に基づいた設計によるユビキチンと緑色蛍光物質の融合蛋白をヒト胎児由来腎臓細胞に遺伝子導入を行ない、限界希釈法によるクローン取得を行なった。ラムダが0.6のポアソン分布に矛盾しない22系列の安定発現細胞クローンを得た。蛋白発現確認は蛍光顕微鏡による観察、培養上清中の緑色蛍光強度の測定、培養生細胞蛍光強度測定、蛋白回収後の免疫学的検出法、蛋白溶解液の蛍光強度測定の5種類の方法を用いた。プロテアソーム阻害による蓄積誘導率は最も高いクローンラインでは84.8であった。 次年度も研究実施計画に沿って検討を行なう。失われて初めてわかるプロテアソームの正常機能を解明することは、炎症性疾患の病態理解や炎症制御戦略の新展開に繋がると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成23年度の研究実施計画をほぼ達成しているため、(2)おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度も、当初予定していた研究計画に従い研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度も、当初予定していた研究計画に従い研究を実施する。
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