研究課題/領域番号 |
23791121
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
高橋 令子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (90422120)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | regulatory T cell / SOCS1 / Foxp3 / interferon gamma |
研究概要 |
本研究は、マスター遺伝子Foxp3の発現を失いサイトカイン産生エフェクター細胞に変化する、regulatory T cell (Treg)の「Tregの可塑性」という現象を、全身性エリテマトーデスなど自己免疫疾患の病態への影響を、患者検体、モデルマウスなどで検討し、さらにTregのFoxp3発現、抑制能の安定化により病態を制御できるかをモデルマウスを用いて検討することを目的としている。 SOCS1欠損Tregはマスター遺伝子であるFoxp3を失いやすくインターフェロンγ(IFNγ)を高産生することを我々は発見し、このIFNγを産生する「可塑性」を最も顕著に観察できるであろう、B16/F10接種メラノーマモデルを用いて解析を行った。Treg特異的にSOCS1を欠損した(Foxp3Cre SOCS1 flox)マウスにおいて、野生型と比較して腫瘍の増殖が有意に抑制される事を見いだした。さらに、野生型TregとFoxp3Cre SOCS1 floxマウスから採取したSOCS1欠損Tregを、それぞれ野生型マウスに腫瘍接種と同時に移入したモデルにおいて、腫瘍の増殖はSOCS1欠損Tregを移入した場合に有意に抑制される事を見いだした。また、SOCS1欠損Tregは通常状態では「可塑性」を示さないが、抗原提示細胞が種々の機序で活性化されIL-12を高産生している状態において「可塑性」を示す事を発見した。 したがって、自己免疫・癌のような炎症状態においてのみSOCS1欠損Tregは「可塑性」を示し、この「可塑性」の状態がむしろ、腫瘍の排除等ある病態にとっては好都合に作用する事を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある種のモデルでregulatory T cellの可塑性が有意義であることを発見した。また、その機序も解明されつつある。 この結果を用いて、やはりインターフェロンγがその病態にとって重要である、全身性エリテマトーデス(SLE)におけるTregの可塑性の意義を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
SLEモデルマウスの胸腺由来natural Treg (nTreg)を解析し、さらにはTregの「可塑性」がその病態に及ぼす意義を検討する。 さらには、SLE患者Tregを健常人と比較して、1)Tregの可塑性の有無の検討、2)そのメカニズムの解明、最終的に3)Foxp3安定発現、抑制能が維持できる細胞集団、あるいは条件(TregプロモーターのDNACpGメチル化状態、抗原特異性の変化、何らかのサイトカインシグナルの有無など)を同定し、Tregの可塑性の是正によってSLEが制御できるかを明らかにする
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次年度の研究費の使用計画 |
・SLEモデルマウスの購入・ヒト検体解析用のFACS抗体などの購入
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