研究課題
レプトスピラ症は有効な治療薬があるにも関わらず、診断の遅れから多くの人々がアジアを中心とした熱帯の途上国で亡くなっている。こうした問題を解決するために以下3項目を具体的な目的としこの計画を進めている。1) 高感度で迅速かつ安価なレプトスピラ症の診断法の確立をする。2) 1)の診断法と臨床病型との関係を評価する。3) アジアでのレプトスピラ症の疫学動態を把握し感染制御に必要な情報を世界に発信する。1,2)に関しては組み換え抗原を用いたELISA法の開発を進行中である。LipL32、LigAの異なる3か所の組み換え抗原が現段階で作成できており、その抗体上昇のパターンをラット及びハムスターを用い検証をしている。また、同時にラット、ハムスターの臨床病型との関係を評価している。これらの新しいELISA法でレプトスピラ感染早期に高感度に診断できるようになれば、早期治療開始が可能でありレプトスピラ症による死亡率を大幅に減らせるようになることが期待される。3) に関してはアジア諸国(スリランカ・タイ・ベトナム)で過去に集められた熱性疾患患者血清を対象に1)で開発したELISA法での抗体価を測定中である。また、これらの検体の一部ではMATやPCR法でのレプトスピラ症の評価がすでに行われている。1),2)で各組み換え抗原に対する抗体価の上昇の意義や上昇パターン、期間などが明らかになればアジア諸国でのレプトスピラの流行実態を明らかにしていくことにつながり、最終的には有効な感染制御に結び付く重要な情報が得られるものと考える。
2: おおむね順調に進展している
研究の目的として以下3項目がある。1) 高感度で迅速かつ安価なレプトスピラ症の診断法の確立をする。2) 1)の診断法と臨床病型との関係を評価する。3) アジアでのレプトスピラ症の疫学動態を把握し感染制御に必要な情報を世界に発信する。1)に関して、LipL32及びLigAの異なる3か所の配列を基にした組み換え抗原の作成に成功している。今後さらに他のレプトスピラ表面抗原を対象とした組み換え抗原の作成を試みる予定である。2)に関して、動物モデルでの各抗体の臨床的意義を評価中である。3)に関して、現在保存中の血清での各抗体価のseroprevalenceを評価中である。更に、流行地で主な感染源となりうるラット類からレプトスピラの分離培養を試み、その遺伝子多型を解析することで、病原体の分子疫学的評価も併せて行っていく。
1) LipL32及びLigAを基に作成した組み換え抗原でのELISA法を流行地患者及び健常者由来の血清を用いて評価する。2) 流行地でのベクターであるラット類でのレプトスピラ保有状況を調査し、病原体の分離培養とその分子疫学的解析を行う。
該当なし
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