研究課題/領域番号 |
23791131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青柳 哲史 東北大学, 大学病院, 助教 (50581609)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス / 気管支喘息 / 急性呼吸不全 |
研究概要 |
インフルエンザ感染症で喘息や慢性閉塞性肺疾患など既存の肺疾患を有する症例において、急性呼吸不全を合併し重篤化することが知られている。これまで、インフルエンザウイルス感染症の基礎的な研究で既存の肺疾患を有する例での重症化のメカニズムは十分に解明されていないため、本研究では喘息マウスのインフルエンザウイルス感染による気道炎症増悪モデルマウスの作成とメカニズムについて検討する。OVA誘発喘息モデルマウスにインフルエンザウイルス(PR-8)を感染させ臨床学的検討を行ったところ、OVA投与群において非投与群(コントロール)と比較し、生存率の改善を認めた。さらに、喘息マウスに非致死量のPR-8を感染させDay2に病理組織学的検討、気管支洗浄液中の細胞数及び分画について検討行った。病理組織学的検討でPR-8投与喘息マウスでは、PR-8単独マウスと比較し気管支壁肥厚、PAS陽性細胞の増加および血管内皮への好酸球および好中球の浸潤を著名に認めたが、PR-8非投与喘息マウスとは大きな差を認めなかった。気管支洗浄液細胞数は、PR-8非投与喘息マウスと比較し、PR-8投与喘息マウスでは細胞数が有意に減少し、PR-8単独投与マウスと細胞数は同等であった。以上の結果より、喘息マウスにインフルエンザウイルスを感染させることで、肺への炎症細胞接着が亢進するが、これらの細胞浸潤が予後および喘息の病態の悪化に影響を及ぼさない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
喘息モデルマウスにインフルエンザウイルスを感染させることで、気道炎症が増悪するという仮説の元本研究を行った。しかし、当初予測された結果と反して、喘息モデルマウスにインフルエンザウイルスを感染させることで、逆に臨床的経過の改善と肺内の炎症細胞浸潤が減弱することが分かった。当初の目的を完遂するため、インフルエンザウイルスの投与タイミングの検討を異なったタイミングで試みているため、当初より計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、喘息モデルマウスにインフルエンザウイルスを感染させることによる気道炎症増悪マウスの作成を試みると同時に、NKT細胞を中心とする自然免疫細胞の関与についても検討を行う。病理学組織学的検討においてインフルエンザウイルス感染による血管内皮細胞への炎症細胞の接着が亢進することが判明したので、インフルエンザウイルス感染による血管内皮細胞へのinteractionについても検討を加える予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた喘息モデルマウスのインフルエンザウイルス感染による気道炎症増悪マウスによる自然免疫細胞の解析について次年度に延期することによって生じたものであり、延期している研究内容に必要な経費として、平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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