研究課題
2009H1N1季節性インフルエンザウイルス感染症では、既存の肺疾患(気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患)を有する症例で急性呼吸不全を呈し重症化することが知られている。そこで今回喘息モデルマウスにおけるインフルエンザウイルス感染による重症化メカニズムの解明のため、該当するモデルマウスの作成を試みた。具体的にはOVA-alumで感作させたマウスにOVA Challenge時にインフルエンザウイルスを同時感染させた。しかし、予想に反してOVA-alumで感作させたマウスの方が臨床経過(死亡率・体重減少)および肺病理組織学的所見においてインフルエンザウイルス単独感染と比較し軽度であった。また、インフルエンザウイルスの接種時期を工夫するも同様の傾向であった。そこで、インフルエンザウイルス単独感染において肺および気道への組織傷害を検討するため、非致死量のインフルエンザウイルスを投与したところ、経時的に肺病理組織学的検討では、投与11日目に肺傷害がピークとなり、それ以降肺の炎症の軽減を認める一方で、気道周囲にコラーゲンの増生を認めた。今回、非致死量のインフルエンザウイルス投与による肺の過剰炎症とその修復過程における肺の線維化に関して、病理組織学的検討・炎症細胞の解析・サイトカイン産生および線維化マーカーの検討を行った。本モデルでは、非致死量のインフルエンザウイルスを投与することで、気道周囲を中心に不可逆的な線維化を呈し、ヒトにおいてもインフルエンザウイルス感染の気道傷害性を説明すること可能なモデルマウスであると考えられた。
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