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2012 年度 実施状況報告書

アスペルギルス・バイオフィルムに対する宿主免疫応答メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23791138
研究機関長崎大学

研究代表者

今村 圭文  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90467960)

キーワード深在性真菌症 / アスペルギルス
研究概要

Aspergillus fumigatus(AF)の細胞壁はβ-1,3-glucan,α-1,3-glucan,chitin,ガラクトマンナンなどで構成されており,バイオフィルム(BF)ではα-1,3-glucanが重要な要素の一つである.本年度はα-glucanase(AG)がAFの成長およびBF形成に与える影響、およびAFと宿主細胞の免疫応答に対する影響について解析した。
AF分生子を液体培地で振盪培養したところ,AG添加群で培養3時間後の分生子凝集及び24時間後の菌塊形成が抑制された.次に分生子を液体培地にて静置培養したところ,鏡検ではAG添加の有無で24時間後の菌糸成長に明らかな差はないものの,共焦点レーザー顕微鏡ではBFの厚さに差異を生じていた.またAG添加群では,気道上皮細胞H292への分生子接着が抑制されていた.AFのBFに対する抗真菌薬の薬剤感受性を,XTTを用いて測定したところ,AF B-5233株ではアムホテリシンB,ボリコナゾール,ミカファンギンにおいて,BF形成に伴う薬剤耐性化が確認された.AG単剤でMICへの影響はなく,また他の抗真菌薬との併用効果も認めなかった.
次に、ヒト単球THP-1細胞をAFで刺激したしたところ,IL-8,TNF-α等の炎症性サイトカインが誘導されていた。また、このサイトカイン産生は、AFが分生子から成長する過程で、菌糸が伸長する時期に最も多く産生されていることが分かった。さらに、AG添加によりこのサイトカイン誘導能が増強されていた.
以上の結果より、AGのAFに対する直接的な抗真菌活性は認めないものの,分生子の凝集および気道上皮細胞への接着が減弱しており,初期のBF形成を抑制する可能性が示唆された.またAG添加によりサイトカイン誘導能が増強されており,AGが宿主細胞のAF認識能を高めている可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、アスペルギルスバイオフィルムと宿主免疫との相互反応について、昨年度よりも更に解析がすすんでいる。

今後の研究の推進方策

今後は、当初の予定通りアスペルギルス・バイオフィルム阻害因子の検索や、慢性肺アスペルギルス感染動物モデルにおける治療効果について検討を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

当初の予定通り、試薬、実験消耗品、実験動物の購入費等や、関連学会への参加費に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] α-glucanaseがAspergillus fumigatusの成長に与える影響についての検討2012

    • 著者名/発表者名
      井手昇太郎、今村圭文、泉川公一、河野 茂、他.
    • 学会等名
      第56回日本医真菌学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121110-20121111
  • [学会発表] α-glucanaseがAspergillus fumigatusの成長に与える影響についての検討2012

    • 著者名/発表者名
      井手昇太郎、今村圭文、泉川公一、河野 茂、他.
    • 学会等名
      第6回アスペルギルス研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120901-20120901

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公開日: 2014-07-24  

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