研究課題/領域番号 |
23791146
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福與 なおみ 東北大学, 大学病院, 助教 (90400366)
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キーワード | ウエスト症候群 / アレイCGH / 遺伝子検索 |
研究概要 |
ウエスト症候群は乳児期に発症しepileptic spasm、脳波上hypsarrhythmia、重度の精神発達遅滞を特徴とする難治てんかんで、その遺伝学的背景の大部分は不明である。申請者はGバンド法により染色体異常症(スミスマケジェニス症候群)が明らかになった小奇形を伴うウエスト症候群の症例を初めて報告し(Jouranl of Child Neurology:24:868-873,2009)、原因不明の潜因性ウエスト症候群に小奇形を伴う症例が多いことに着目した。またこれまでに申請者は、宮城県の小児神経科医を通じてウエスト症候群の症例の検体を収集し、宮城県におけるウエスト症候群の発生率(出生1万対3-4)を初めて明らかにした(Epilepsy Research:87:299-301,2009)。そこで、収集した小奇形と精神発達遅滞を伴った潜因性ウエスト症候群症例を対象に、マイクロアレイCGH法によるゲノムコピー数の異常の検出を行った。申請者はこれまでに解析した51例のうち、3例にゲノムコピー数の異常を認めた。一部のゲノムコピー数の異常領域に存在する遺伝子の一つは、てんかんと精神遅滞を呈する症例において、遺伝子変異の報告がなされていた。当該年度は、マイクロアレイCGH法によるゲノムコピー数の異常の検出を行った。今後は、マイクロアレイCGHによるゲノムコピー数の異常の再現性を確認し、高精度融解温度解析(high resolution melting;HRM)を用いた全エクソンの遺伝子変異スクリーニングを行う予定である。スクリーニングで検出されたエクソンにおける変異の有無を解析し、そのエクソンをシークエンスすることで、ウエスト症候群の候補遺伝子を特定できる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由:当該年度に、マイクロアレイCGHの解析と高精度融解温度解析(high resolution melting; HRM)の分析結果をもとに疾患関連遺伝子の解析を行う予定だった。しかし、マイクロアレイCGHの解析により膨大な数のゲノムコピー数異常が検出された。よって、疾患関連遺伝子の候補を選別できなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
潜因性ウエスト症候群において、新たな種類のマイクロアレイCGH法によるゲノムコピー数の異常を持つ特定領域の検出をおこなう。これにより明らかにされた特定領域における候補遺伝子群の変異解析を行い、疾患感受性遺伝子を特定する予定である。 次年度使用額は、新たな種類のマイクロアレイCGHを購入することによって生じたものであり、マイクロアレイCGHと高精度融解温度解析(high resolution melting;HRM)に必要な経費として平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、新たな種類のマイクロアレイCGHを購入することによって生じたものであり、マイクロアレイCGHと高精度融解温度解析(high resolution melting;HRM)に必要な経費として平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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