研究課題
我々の研究の目標は、抗癌剤に対する薬剤耐性メカニズムを解明し、克服することである。その中でもABCトランスポーターである多剤耐性関連蛋白質(MRP1)に注目し、研究を進めている。平成23年度の目標としては、モジュレーター候補薬剤の選定とMRP1機能解析による証明を挙げた。1、耐性細胞株の樹立に関しては、低濃度抗癌剤添加による耐性細胞選択法によって、樹立することができた。またMRP1cDNAをMRP1が発現していないHEK293にトランスフェクトさせ、MRP1高発現細胞株の樹立に成功した。2、これらに対して、モジュレーター候補薬剤添加後の薬剤感受性試験として、MTTアッセイを行った。さらにモジュレーター候補薬剤添加後の蛍光色素排出能試験、モジュレーター候補薬剤添加後のMRP1発現を行い、その機能解析を行うことができた。さらに、モジュレーター候補薬剤のMRP1に対する薬理作用の検討として、細胞内グルタチオン濃度測定、ATPaseアッセイ、アポトーシス経路、細胞周期の測定を行い、結果を解析中である。平成24年度は、予定通りMRP1における遺伝子多型と機能解析、モジュレーターに与える影響を行いたい。
2: おおむね順調に進展している
予定された研究に関しては、上記のように進んでいる。しかし、その解析などの成果を学術論文等に発表することができていない。世界的にも非常に注目される結果であると考えられるため、早期に行いたいと考えている。
上記したとおり、平成24年度は予定通りMRP1における遺伝子多型と機能解析、モジュレーターに与える影響を行いたい。SNPs細胞株の樹立に関しては、報告されているSNPs(G2168Aなど)を組み込んだMRP1高発現白血病細胞を樹立する。また細胞株によるMRP1機能解析、モジュレーターとの相互作用を検証するため、樹立された細胞株の抗癌剤に対する感受性試験とともに、MRP1機能解析実験を行う。また、同時にモジュレーター薬剤投与による解析を行い、双方の作用機序や作用点の解析を行うことが可能である。以上を予定通り、遂行し、さらに研究成果を予定期間内に発表することが最も重要なことと考える。
現在、使用している実験器具等の消耗品が主である。具体的には、細胞培養に必要な物品やMTTアッセイのキット、遺伝子改編用のキット等である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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