本研究によって、母乳脂質に、標準的な脂肪細胞分化誘導剤がなくても前駆脂肪細胞を分化誘導誘導する作用があること、母乳脂質により分化誘導された脂肪細胞は最終的に成熟脂肪細胞にまで分化すること、が明らかとなった。本研究ではさらに質量顕微鏡による脂肪滴の主な構成成分である中性脂肪の解析に着手した。細胞培養サンプルの調整法を確立したが、脂質局在の解析にはより詳細な条件設定が必要である。脂肪細胞は主に前駆脂肪細胞の段階で数を増やし分化後の成熟脂肪細胞は活発な増殖をしない。本研究成果は、母乳が生後早期の児における前駆脂肪細胞を積極的に成熟脂肪細胞に誘導し脂肪細胞数の増加を抑制している可能性を示すものである。
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