研究課題
SMN1遺伝子、SMN2遺伝子のエクソン6-8とルシフェラーゼ遺伝子で構成されるミニ遺伝子を作成し、本研究室で有している未分化神経芽腫細胞へミニ遺伝子のトランスフェクションを試みた。しかしながら、安定発現細胞の樹立が困難であり、残念ながら治療効果の評価システムとして実用性に乏しいものであった。そこで、次に我々はcDNAを用いてエクソン6-8のPCRを行いApplied Biosystems社のキャピラリー電気泳動装置ABI PRISM® 310 Genetic Analyzerを用いたフラグメント解析によって、全長型のSMN2遺伝子mRNA(FL-SMN)とエクソン7欠失型のSMN2遺伝子mRNA(Δ7-SMN)を定量する事によってスプライシングの評価を行った。まず、健常成人のcDNAを用いて適切なPCRのサイクル数およびPCR産物の希釈倍率を決定した。引き続いて、SMN1遺伝子のホモ接合性欠失を認め、SMN2遺伝子を3コピー有する患者検体を用いて、脊髄性筋萎縮症の治療薬候補として知られているバルプロ酸投与前後でのスプライシングを評価した。バルプロ酸投与前に比べて、バルプロ酸投与後はFL-SMN、Δ7-SMNともに増加を認めたが、スプライシング修正の指標であるFL-SMN/Δ7-SMNはむしろ減少傾向を示した。バルプロ酸はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、遺伝子転写産物の増加による薬効機序が示唆されており、当研究室での以前の報告でも、転写産物の量は増加させたものの、スプライシング修正の効果は認めず、今回の研究結果と一致していた。この評価方法は治療薬による効果判定の際に有用であると考えられた。
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