研究概要 |
日本国内における骨形成不全症患者(OI)の遺伝子解析を19名行った(うち3名は現在解析中)。このうち約9割のOI患者の原因遺伝子であるI型コラーゲン遺伝子(COL1A1遺伝子、COL1A2遺伝子)のCOL1A1の変異を11名に認めた。いずれもSillence分類において軽症であるI型の患者であり、変異の内訳はsplicing acceptor siteもしくはdonor siteの変異が7名、1塩基の重複が1名、8塩基の欠失が1名、ナンセンス変異が1名、I型コラーゲンの3重螺旋構造の維持に重要であるグリシン-X-Y repeatのグリシンがセリンに変化するミスセンス変異が1例であった。COL1A1, COL1A2の遺伝子変異が陰性であった8名のうち解析途中であるものを含めて、臨床的にI型と考えられる者が1例、II型と考えられる者が1例、III型と考えられる者が2例、4型と考えられる者が1例、結果としてOIではなかった者が3名(重症心身障害児、低出生体重児、遺伝歴からOIを疑われたが結果としてOIではなかった者が1例)であった。これらの8名について常染色体劣性遺伝形式のOIの原因遺伝子であるCRTAP, LEPRE1, PPIB, FKBP10, OSTERIX, SERPINH1, SERPINF1の解析を行ったが、いずれも変異は陰性であった。尿中骨代謝マーカーについては早期の診断を目的とするため1歳未満のOI患児の尿検体を中心として収集しており、5名の尿検体を収集できた。健常児との尿中NTXの違いを今後明らかにしていくために体格や出生時の妊娠週数などの情報をあわせて、健常児及び骨形成不全症患児の骨代謝マーカーによる精度の良い鑑別法を見いだしたいと考えている。
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