研究課題/領域番号 |
23791191
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小高 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382885)
|
キーワード | 小児特発性ネフローゼ症候群 / プロテオミクス / 透過性因子 |
研究概要 |
(具体的内容)本研究の第一の目的は、我々が先の研究で特定した小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群(ISSNS)の4つの病因候補一次質量ペプチドイオンの情報を用いて、病因候補蛋白質を同定することである。これら4つのうち2つに関しては、ペプチドシークエンスタグ法を用いた、H23~24年度の研究にて、アポリポプロテインA-2、アポリポプロテインC-1、C-2、アポリポプロテインC-1のフラグメントであることが判明した。 (意義・重要性等)これまでの報告でネフローゼ症候群とこれらのアポリポプロテインの上昇に関するものは散見されるが、その機序はネフローゼ症候群において続発するとされる高脂血症に伴うものであると一般的に理解されている。つまりネフローゼ症候群に伴う二次的な変化であるという考え方である。しかしながら、今回の研究では、ISSNS群と二次性ネフローゼ群との間で、これらのアポリポプロテインの値に統計学的な有意差を認めており、これらがネフローゼ症候群に続発する高脂血症によるものとは断定できず、ISSNSの病態に特異的に起こっている変化である可能性が考えられた。このようなアポリポプロテインのプロファイリングの変化が、ISSNSにおける糸球体の透過性亢進に一次的に関連しているのか、あるいはISSNSで生じている何らかの異常の結果であるのか、何れにしても、いまだ不明であるISSNSの病態形成を解明していく手がかりになると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来、H24年度までに、同定した病因候補蛋白を用いて動物実験を行う予定であったが、同定された蛋白が全てアポリポプロテインであったため、まずは、これらのアポリポプロテインの上昇が小児特発性ネフローゼ症候群における特異的変化であること(つまり他の二次性ネフローゼ症候群では認められない変化であること)の裏付けをとることとした。つまり、ISSNSと二次性ネフローゼ症候群(二次性ネフローゼ症候群の症例に関しては総コレステロール値がISSNSと有意差がないことが前提)、およびISSNS寛解期の症例の血清アポリポプロテインプロファイリングを行い、ISSNS急性期症例で有意に高値であることを確認する。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、小児ISSNS症例のアポリポプロテインのプロファイリングを行っており、二次性ネフローゼ症候群やISSNS寛解期のそれと比較するための実験を施行中。これにて有意な差が見られれば、ISSNSの病態形成に強い関与が推定されている免疫系、特にTリンパ球のプロファイリング(Th1、Th2、Th17、Treg)とこれらアポリポプロテインのプロファイリングの変化に相関があるのか検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
アポリポプロテインのプロファイリングのためのELISA kitやTリンパ球のプロファイリングのためのフローサイトメトリー用kit、および、これらの測定や検体保存用の消耗品等を購入する予定。
|