研究概要 |
【研究の成果】 最終年度に実施した研究の成果:H23~24年度に実施した、小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群(ISSNS)患者血清のプロテオミクス分析の結果、Apolipoprotein A2およびC1の特異的上昇がみられた。従来の計画では、病因候補蛋白の同定に伴い、マウスへの投与実験を経て確定する予定であったが、生理的な状況でも血中にある程度認められる蛋白であること、プロテオミクスの測定からどの程度の高値であったかが不明であったことなどから、ネフローゼ急性期におけるこれらの血中濃度を実測する必要があると判断した。このため、H24~25年度にかけては従来の予定を変更して、ISSNS患者血清を用いたApolipoproteinのプロファイリングを実施した。具体的には、Apolipoprotein A2,C1の他に、蛋白尿との関連の報告のある、Apolipoprotein E,Jに関しても同時に測定を行った(ISSNS急性期患者血清、二次性NS急性期患者血清)。この結果、Apolipoprotein C1のみがISSNS急性期患者血清で有意な上昇を認めていた。 【意義】 従来、ApolipoproteinはNSに伴う二次的な高脂血症により上昇すると考えられていたが、今回の研究で、Apolipoprotein C1が二次性NSとの比較においてもISSNSで特異的に上昇していたことが確認できたことは、新たな発見であった。今後は、Apolipoprotein C1が免疫機能、特にT細胞機能(ISSNSの病態に深く関連していると考えられている)に及ぼす影響に関して研究を進めていく。
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