研究課題/領域番号 |
23791195
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
菅沼 栄介 東海大学, 医学部, 助教 (60408010)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 川崎病 / 酸化ストレス / LCWE |
研究概要 |
本研究での最大の目的は、川崎病の冠動脈病変の形成における酸化ストレスの関与をマウスを使って明らかにすることでありこの研究を通じて川崎病の冠動脈病変の新たな治療戦略が見いだされるが期待される。まず酸化ストレスに対する感受性が高い、NrF2遺伝子欠損(NrF2KO)マウスを作製する事から開始した。Nrf2KOマウスは存在しておらず、ヘテロ(+/-)の雄とwild typeの雌を交配させる事から開始し、継代繁殖を計3回行う事で雄のNrF2KOとwild typeマウスをそれぞれ10匹ずつ得ることが出来た。継代繁殖には半年程度の時間を要すると予想していたが、ヘテロ(+/-)同士の交配では通常のマウスと比較して交配開始から妊娠までの時間を要した為、目的のマウスを得るまでに予想以上の時間が掛かった。今後は得られたNrF2KOマウスに対してLCWEの腹腔内注射を行い、両群での冠動脈病変の程度に差があるかを組織学的に比較検討する予定である。また血清を用いて各種サイトカインの定量的な評価も行い組織(冠動脈炎)との関連性があるかを検討する。さらに来年度は酸化ストレスの対して抵抗性を持つKeap1ノックダウンマウスも繁殖、継代も並行して行い、同様にLCWEの投与による影響についても検討していく予定である。研究実施計画と照らし合わせるとほぼ予定通りに進んでおり実験結果は来年度以降に報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NrF2KOマウスを得るため、繁殖、継代にある程度時間を要したが概ね順調であると判断します。
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今後の研究の推進方策 |
4週齢の雄のマウスを以下の4群に分ける。(1)Nrf2(keap1)ノックアウトマウス+LCWE腹腔内注射<n=10>(2)Nrf2(keap1)ノックアウトマウス+PBS 腹腔内注射<n=10>(3)ワイルドタイプマウス+ LCWE腹腔内注射<n=10>(4)ワイルドタイプマウス+ PBS腹腔内注射<n=10> LCWEはいずれも0.5mg/匹使用過去の実験から炎症が最も強く出る腹腔内注射4週後にマウスをsacrificeし各群間での比較を行う。一回の交配で得られるマウスの数に限りがあり数回に分けて同様の実験を繰り返す。組織染色:上記で得られた上部心臓から凍結切片を作製しH&E染色、免疫染色(CD169、CD3)を行い浸潤した細胞の定量化、解析を行う。Realtime PCR:また同部位からRNAを抽出し(RNeasy Mini kit・Qiagen, Valencia,CA)ABI prism 7700 sequence detection system(ABI)を使用したRealtimePCR法(Taqman)でMMP-2、MMP-9、MCP-1、IL-6、TNF-αの定量的評価を行う。Bio-Plexサスペションアレイシステム:さらにマウスの心臓から直接採血を行い(約1ml)、遠心により血清のみを-20°にて凍結保存する。約70μlと極少量で、20種類以上のマウスのサイトカイン測定を行う事が可能である。IL-6、TNFα、IFNγといった川崎病との関連性が過去にも証明されているものから、MCP-1、MIP、VCAMなどはマクロファージ、血管内皮細胞に絡んだ炎症性サイトカインの測定も可能であり非常に興味深く川崎病の冠動脈病変の病因解明につながる可能性も示唆される。昨年度残金が生じ理由はマウスの繁殖に時間を要したため上記の前半部分の実験が行えなかった為で次年度使用予定となります。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.各種抗体;免疫染色用のマクロファージに対してはCD169(AbD serotec,MCA884EL)、 Tリンパ球に対してはCD3(AbD serotec, MCA1477)を購入する。2.Real time PCRプライマー;MMP2,9、TNF-α、IL-6、MCP-1を購入3.その他の試薬;Real time PCR(RNA抽出キッドなど)4.マウス購入、飼育費用;約70-80匹/1年5.手術器具、麻酔薬、スライド、その他;抹殺時に使用する麻酔薬(ペントバルビタール)、組織染色や免疫染色で使用するスライド、スライドカバーなどがこれに含まれる。また血管径などの測定などに使用するコンピューター解析ソフト、統計ソフト購 入なども含む。
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