川崎病の冠動脈病変と酸化ストレスの関連性については不明な点が多い。今回酸化ストレスに感受性を示すNrf2遺伝子欠損(KO)マウスに対してLCWEを腹腔内投与し冠動脈炎を誘発しワイルドタイプ(WT)と比較した。予想に反してNrf2KOマウスの冠動脈炎と血清の炎症性サイトカインはともに有意な抑制をみた。Nrf2KOマウスの末梢血中マクロファージは超急性期に強く誘導される一方で亜急性期は脾臓におけるアポトーシスが著明に亢進していた。つまりNrf2遺伝子は抗酸化ストレス作用による抗炎症作用と脾臓におけるアポトーシスの抑制による炎症の遷延化という2つの側面を持つという新たな発見があった。
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