研究課題/領域番号 |
23791198
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 美妃子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40338968)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | チアノーゼ性先天性心疾患 |
研究概要 |
本研究の目的は、チアノーゼ性先天性心疾患における血小板活性化の機序、特に血管内皮機能との関連,アスピリン耐性について調べることである。先天性心疾患患者から採血し、P-selectinに対するmonoclonal抗体と、フローサイトメトリー(FACS caliber flow cytometer) を用いて血小板P-selectin発現を測定した。先天性心疾患において血小板機能を測定し、内皮機能との関連を調べた。アスピリン服用患者と非服用患者においてフローサイトメトリーを用いて血小板P-selectin発現を測定した。先天性心疾患において、特にチアノーゼ性心疾患において、脳動脈に血栓塞栓症を合併することがあった。また、アスピリンを内服しているにもかかわらず、先天性心疾患において、脳動脈血栓塞栓症を合併することがあった。チアノーゼ性心疾患において、脳動脈に血栓塞栓症を合併した患者では、血小板P-selectinが高値であった。またアスピリンを内服しているにもかかわらず、先天性心疾患において、血小板P-selectinが高値である患者が存在した。さらに Thrombin-antithrombin III (TAT)が高値である場合には、血栓のリスクが高かった。内皮機能の指標として、thrombomodulinの値を測定した。チアノーゼ性先天性心疾患において、thrombomodulin値が低いと、p-selectinの値が高い傾向があり、内皮機能が低下すると血小板が活性化されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アスピリン抵抗性の患者の数が少なく、アスピリン抵抗性の患者と抵抗性のない患者の2群間の比較ができていない。患者数を増やして検討したい。血小板活性化先天性心疾患患者から採血し、P-selectinに対するmonoclonal抗体と、フローサイトメトリー(FACS caliber flow cytometer) を用いて血小板P-selectin発現を測定している。非チアノーゼ性先天性心疾患患者、チアノーゼ性先天性心疾患患者の数がまだ少ないので数を増やす。先天性心疾患において内皮機能と血小板機能の関係を明らかにするため、内皮機能を測定しているが、患者の数がまだ少ないので数を増やす。
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今後の研究の推進方策 |
1)血小板の活性化と血栓症発症の関係:先天性心疾患において血栓塞栓症を合併した患者について、血小板の活性化と血栓症発症の関係について調べる。血栓塞栓症発症後に、症状が安定してから、血小板活性化、血小板凝集能、血液凝固因子を測定する。先天性心疾患に血栓塞栓症を合併する患者は年間3-6名である。2)血小板活性化の因子:血小板活性化の因子として、短絡の有無、狭窄の有無、低酸素血症、多血症などと血小板活性化の関係を後方視的に調べる。3)血小板によるトロンボキサンA2の産生と、内皮細胞によるプロスタサイクリン産生:血小板によるトロンボキサンA2の産生と、内皮細胞によるプロスタサイクリン産生のバランスと、血小板凝集能の関係や、血栓症発症との関係について調べる。血小板活性化を測定するとともに,トロンボキサンA2産生のマーカーとして尿中 11-dehydro thromboxane B2 を測定する。また、プロスタサイクリン産生のマーカーとして尿中 6-oxo-prostaglandin F1αを測定する。非チアノーゼ性先天性心疾患患者20名、チアノーゼ性先天性心疾患患20名について調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
血小板機能測定の試薬購入に大部分を使用する。血小板活性化、血小板凝集能、血液凝固因子を測定する。トロンボキサンA2産生のマーカーとして尿中 11-dehydro thromboxane B2 を測定する。プロスタサイクリン産生のマーカーとして尿中 6-oxo-prostaglandin F1αを測定する。シクロオクゲナーゼや糖タンパクIIb/IIIa受容体の遺伝子多型解析を行う。
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