研究課題
1、ホモ接合体floxed SCN2A遺伝子破壊マウスを作出した。ホモ接合体floxed SCN2A遺伝子破壊マウスは、見た目正常であった。そして、SCN2A遺伝子のコードするタンパク(Nav1.2)発現量が野生型と同レベルであることをウエスタンブロット法で確認した。2、ホモ接合体floxed SCN2A遺伝子破壊マウスとヘテロ接合体Emx1-Creノックインマウスを交配させ、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ヘテロ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを得た。この変異マウスに見た目の異常は認められなかった。次に、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ヘテロ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスとホモ接合体floxed SCN2A遺伝子破壊マウスを交配させ、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを得た。大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスは、生後2日以内に全例が死亡した。一方、genotypeの異なる同腹仔に特筆すべき異常は認められなかった。大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスに認められた周産期致死は、既に報告されているSCN2A遺伝子ノックアウトマウスの表現形と全く同じであることから、周産期致死の原因がNav1.2発現低下による大脳皮質・海馬興奮性神経細胞の機能不全であることが示唆された。3、ホモ接合体floxed SCN2A遺伝子破壊マウスとヘテロ接合体VGAT-Creノックインマウスを交配させ、GABA作動性神経細胞特異的ヘテロ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを得た。この変異マウスに見た目の異常を認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
1、floxed SCN2A遺伝子座がコンディショナルSCN2A遺伝子破壊に使用できることが確認できた。2、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスの作出に成功したことと、この変異マウスに周産期致死という異常を見出した。3、GABA作動性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウス作出へ向けた準備ができている。
1、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスに認められた周産期致死の原因が興奮性神経細胞のナトリウムチャネル機能低下であることを確認する。2、GABA作動性インターニューロンでSCN2A遺伝子が発現しているか、さらに、GABA作動性インターニューロン特異的にSCN2A遺伝子破壊を行っても周産期致死が起きないことを確認する。
1、次年度に使用する予定の研究費(42,392円)がある。平成23年度中に購入した試薬、消耗品が当初計画より安価に入手できたため。2、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスの解析を引き続き行う。ウエスタンブロット法で脳内Nav1.2タンパク発現量変動を解析する。さらに、大脳皮質・海馬興奮性神経細胞におけるNav1.2タンパク発現変化を免疫組織学的に解析する。Scn2a mRNA発現量変動については、RT-PCR法、RNA in situ hybridization法で検討を行う。3、GABA作動性インターニューロン特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを作出する。SCN2A遺伝子座とVGAT-Cre trangeneがともにマウス染色体2番に位置することが推定されているので、GABA作動性神経細胞特異的ヘテロ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスとC57B/6Jマウスを交配させ、もう一度、GABA作動性神経細胞特異的ヘテロ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを得る。この改めて作出されるヘテロ接合体マウスは、SCN2A遺伝子座とVGAT-Cre trangeneが同じ染色糸上にシスに位置すると考えられる。このヘテロ接合体マウスを用いてGABA作動性インターニューロン特異的ホモ接合体SCN2A遺伝子破壊マウスを作出し、表現形を記述する。
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Epilepsia
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Annual Report of the Japan Epilepsy Research Foundation.
巻: 22 ページ: 25-30
Neuropediatrics
巻: 42 ページ: 78-81
10.1055/s-0031-1279725