「全身性SCN2A遺伝子ノックマウスの周産期致死」 Floxed SCN2A遺伝子変異マウスをEIIa-Creマウスと交配し、全身性SCN2A遺伝子ノックマウスを作製した。全身性ホモ接合型SCN2A遺伝子ノックマウスは、既報のSCN2A遺伝子ノックマウスと同様に、生後2日以内に全例が死亡した。けいれんは、認められなかった。PCR法は、Cre-loxPを介した組み換えによるSCN2A遺伝子欠失変異を確認した。そして、ウエスタンブロット法は、欠失変異による電位依存性ナトリウムチャネルα2発現抑制を認めた。以上の結果は、floxed SCN2A遺伝子変異マウスがCre-loxPを介したSCN2A遺伝子破壊に利用できることを示した。 「前脳神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスの周産期致死」 前年に引き続き、前脳神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスを作製した。前脳神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスは、全身性SCN2A遺伝子ノックマウスと同様に、全例が生後2日以内に死亡した。けいれんは、認められなかった。半定量的ウエスタンブロット法は、前脳神経細胞特異的SCN2A遺伝子破壊マウスの電位依存性ナトリウムチャネルα2脳内発現量が、コントロールのおよそ3分の2に減少していることを見出した。そして、免疫組織染色法は、前脳特異的な電位依存性ナトリウムチャネルα2発現低下を認めた。この知見は、前脳神経細胞に発現する電位依存性ナトリウムチャネルα2が出生後の生命維持に必須であることを示唆する。 「まとめ」 SCN2A遺伝子異常とけいれんとの関連性を明らかにできなかったが、前脳神経細胞の電位依存性ナトリウムチャネル機能低下が周産期致死の原因であることを示唆した。
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