研究課題/領域番号 |
23791205
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
白戸 憲也 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 主任研究官 (40415477)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | RSV / MDCK / ウイルス複製 |
研究概要 |
本年度はGFPを発現するRSV粒子作製を中心に行う予定であった。RSVの組み換えウイルス作成のためにはゲノムを含むプラスミドとN、P、M2-1、Lの4遺伝子のサポートプラスミドが必要である。これらのうち4種のサポートプラスミドの構築は完了した。しかしゲノムを含むプラスミドのクローニングは完了できなかったため、次年度に引き続いて行う予定である。ゲノムプラスミドのクローニングについてはClontechのIn-Fusionを用いることで改善できると考えられる。 一方で、次年度に行予定であったHMC-1、MDCK細胞へのRSV感受性細胞由来cDNAライブラリーの導入および発現細胞のクローニング、さらに、クローニングされた細胞とGFP発現RSV粒子を用いたウイルス感受性の確認については本年度から開始した。ウイルス感受性の確認はRSV感染後に抗RSVヤギ血清(Chemicon AB1128)を用いて免疫染色する事で行った。結果として、MDCK細胞においてはヒト肺由来cDNAライブラリー導入においては5クローン、HeLa細胞由来cDNAライブラリー導入においては7クローンのRSV感受性化クローンを得ることが出来た。これらのクローンを用いてウイルス複製の定量を行ったところ、数クローンにおいてライブラリー導入前のMDCK細胞と比べて100倍以上のウイルス力価を示すクローンが見られた。従って何らかのウイルス複製関連遺伝子が導入されたMDCK細胞クローンを得ることが出来たと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定ではライブラリー導入細胞のクローニングは組換えRSVを用いて行う予定であった。しかし抗RSV(全粒子)ヤギ血清(Chemicon AB1128)を用いることで、非組み換えウイルスによるクローニングを行う事にした。HMC-1細胞においてはクローンを得ることが出来なかったが、MDCK細胞を用いた実験ではヒト肺細胞由来cDNAクローン導入で5クローン、HeLa細胞由来cDNA導入で7クローンの計12クローンを得ることが出来た。免疫染色によるクローニングを行っているため、非特異染色によるバックグラウンド誤差の可能性があるが、実際にRSV感染実験を行ったところライブラリ未導入のMDCKと比べ、ウイルス力価で100倍の差が見られたため、何らかのウイルス複製関連遺伝子が導入されたクローンを得ることが出来ていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
得られたクローンをウイルス力価、ウイルスRNA量、抗原染色の度合いでランク付けし、最も適していると想定されるクローンをいくつか用いて、マイクロアレイ法による遺伝子の特定を試みる。一方で、ウイルス感染実験おいて、ウイルス力価は高いものの細胞融合を示さないクローンや、ウイルス力価は低いものの細胞融合を示すクローンなどが見られた。これらはウイルス複製、すなわちRNA複製、ウイルス粒子形成、ウイルス粒子放出、細胞融合などの各ステップに関与する遺伝子が導入されている可能性が考えら得るため、これらのクローンにも注目して遺伝子の特定を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度計画を前倒しし、主にマイクロアレイ受託試験費として用いる。
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