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2012 年度 実施状況報告書

ヒト心筋分化誘導因子の同定-再生医療との複合戦略の創成-

研究課題

研究課題/領域番号 23791209
研究機関公益財団法人先端医療振興財団

研究代表者

草川 森士  公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (80462802)

キーワード再生医療 / 心筋分化
研究概要

申請者は、平成23年度からの科学研究費補助金・若手研究Bを受け、その研究課題のもとに、ヒト心筋分化誘導因子の同定に向けた研究に取り組んでいる。今年度は、心筋細胞への分化誘導因子を同定するための実験系確立、そのバリデーションを引き続き行った。また、胚性癌細胞、間葉系幹細胞、血管平滑筋細胞を利用した網羅的遺伝子解析によって、心血管系の発生、機能に関わる可能性のある候補遺伝子の探索を行った。その結果得られたいくつかの候補遺伝子について、モデル細胞(間葉系幹細胞、平滑筋細胞)を用いた検証を行った。
心筋細胞への分化誘導因子を同定するための実験系確立として、心筋分化誘導因子のスクリーニングに利用できる細胞の作出を行っている。これまでに、心筋細胞のマーカー遺伝子であるαミオシン重鎖(αMHC)のプロモーターによって緑色蛍光蛋白遺伝子(GFP)を発現するようなプラスミドベクター、レンチウイルスベクターを作成し、マウスES細胞、ヒトiPS細胞へ導入、安定発現株の単離に成功した。これらの細胞を用い、ヒト心筋分化誘導因子の探索を今後試みていく。
心血管系の発生、機能に関わる可能性のある候補遺伝子として、弾性繊維の蛋白質をコードする遺伝子がマイクロアレイの結果から得られた。また、これらの蛋白質は甲状腺ホルモンによって調節を受けることが分かった。低甲状腺機能は、心筋梗塞のリスク要因としても知られていることから、弾性繊維の蛋白質が心機能調節に関与している可能性が考えられた。そのメカニズム解明を現在進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度、心筋分化誘導因子のスクリーニングに利用できる細胞を数株作出することができた。しかしながら、これらの細胞は、現時点ではGFPの発現が不安定であり、細胞の継代によるGFPの消失という問題も出てきていることから、実用性にはまだ少し遠い状態である。良い状態の細胞を選別し、大量のストックを確保しておくことで、スクリーニング系への利用(バリデーション)を試みていくことに加え、導入遺伝子の再構成を試み、より遺伝子発現の安定した細胞の作出も試みる。
心筋細胞分化誘導因子の同定に関しては、上記の細胞株の選別や、各種幹細胞の心筋分化誘導法が完全に確立していない状況のため、網羅的遺伝子解析などがまだ行えていない。しかしながら、心血管系の発生、機能に関わる可能性のある候補遺伝子が現在得られていることから、それらの働きについて解析を進め、今後心筋分化との関わりについても検証していく。

今後の研究の推進方策

心筋分化誘導因子のスクリーニングに利用できる細胞として、心筋細胞のマーカー遺伝子のプロモーターとGFPを発現する細胞株を作成しているが、GFPの発現が不安定という問題に直面している。これらの原因として、導入遺伝子のメチル化が考えられるため、打開策として、新たなプラスミドベクターの作成を進めていく。メチル化を受けるサイトを取り除いた遺伝子の利用、さらに、周囲のクロマチンによる影響を受けず安定に制御できるような配列(インスレーター配列、マトリックス付着領域)で発現遺伝子を挟み込むような工夫をほどこしたプラスミドを現在作成している。
また、弾性繊維の蛋白質の心血管系での機能解析では、これらの蛋白質をコードする遺伝子のプロモーターが甲状腺ホルモンによる影響を受けているか、現在解析を進めている。

次年度の研究費の使用計画

研究費の使用は、前年度と同様に細胞培養の為の培地、ディッシュ等の消耗品、さらには、各種プラスミドベクター作成のための試薬類が中心となる。また、情報収集のために1度国内の学会(再生医療学会)へ参加する予定であり、その出張旅費にも利用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Highly Sensitive In Vitro Methods for Detection of Residual Undifferentiated Cells in Retinal Pigment Epithelial Cells Derived from Human iPS Cells2012

    • 著者名/発表者名
      Takuya Kuroda, Satoshi Yasuda, Shinji Kusakawa, Naoya Hirata, Yasunari Kanda, Kazuhiro Suzuki, Masayo Takahashi, Shin-Ichi Nishikawa, Shin Kawamata, Yoji Sato
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7(5) ページ: e37342

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0037342

    • 査読あり
  • [学会発表] レポーター蛋白を利用した多能性幹細胞の神経分化の評価2012

    • 著者名/発表者名
      草川 森士, 舩田 正彦, 安田 智, 黒田 拓也, 山内 淳司, 佐藤 陽治
    • 学会等名
      第35回神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20120918-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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