研究課題
難治性造血器腫瘍の根治的治療法として造血幹細胞移植が確立されているが、急性GVHDのために、十分な治療成績が得られていない。急性GVHDの治療で欧米では体外光化学療法(psoralen+紫外線照射)を施行して免疫抑制剤不能症例に対して用いられ良好な治療成績が得られている。我々はその体外光化学療法を利用し、マウス骨髄細胞からGM-CSFを添加し未熟樹状細胞を大量に培養した後、psolarenと紫外線を併用し(PUVA療法の応用)制御性樹状細胞を大量に作製することに成功した。このpsoralen+紫外線照射を利用した制御性樹状細胞(PUVA-DC)は、ドナータイプおよびサードパーティからの作成でも混合リンパ球反応を抑える事が可能であった。PUVA処理で樹状細胞が制御性樹状細胞の性質を獲得したが、その性質が、樹状細胞以外の他の血球、リンパ球(CD4、CD8、B220)にもその作用が及ぶか検討した。PUVA処理したリンパ球(CD4、CD8、B220)およびPUVA処理した樹状細胞と同系統の骨髄由来樹状細胞をstimulatorとして、混合リンパ球反応を行った。その結果、PUVA処理した樹状細胞とともに混合リンパ球反応を施行した群のみその反応は抑えられ、他のPUVA処理したリンパ球(CD4、CD8、B220)とともに施行した混合リンパ球反応ではその反応は抑えられなかった。その結果、GVHD治療に用いられる体外光化学療法(PUVA療法)の機序として、リンパ球より樹状細胞に寛容を誘導するメインの機序があると考えられた。末梢血中の樹状細胞は、リンパ球に比べてその比率が極わずかなため、体外光化学療法を効果的に利用するには、体外で樹状細胞を培養後にPUVA療法を施行して、体内に輸注する細胞療法が致死的なGVHDに対して有効な治療法となる可能性が示唆された。
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