3人の健常人末梢血単核球から、ゾレドロネートとIL-2を用いてγδT細胞を増幅した。その後磁気ビーズを用いてγδT細胞を純化し、以後の実験に使用した。クロミウム放出試験による細胞傷害性試験で、γδT細胞はゾレドロネートで処理した神経芽腫細胞株を傷害した。神経芽腫細胞株をEGF、FGF添加無血清培地で培養し、神経芽腫sphereを樹立した。この神経芽腫sphereは元の付着細胞と比較し、in-vitroで高いコロニー形成能を示し、また免疫不全マウス(SCIDマウス)への移植実験でも高い腫瘍形成能を呈した。これらの結果から神経芽腫sphereには神経芽腫幹細胞が濃縮されていると考えられた。γδT細胞は、ゾレドロネートで処理した神経芽腫sphereにも傷害性を示した。γδT細胞の傷害性が神経芽腫sphereの中にある神経芽腫幹細胞に対してあるのかどうかを確かめるために、まずin-vitroでのコロニーアッセイを行ったところ、γδT細胞の存在下では神経芽腫コロニー形成能が阻害された。また、SCIDマウス腎被膜下に神経芽腫sphereとγδT細胞を移植したところ、腫瘍形成が阻害された。これらの結果からγδT細胞は神経芽腫幹細胞に傷害性があることが示唆された。また、これらの傷害性は、抗γδT細胞受容体抗体とHMGCoA阻害剤であるメバスタチンにより阻害されたが、抗NKG2D抗体では阻害されなかった。この結果から、γδT細胞の傷害性はγδTCR受容体を介しており、NKG2Dを介したNK活性によるものではないことが示された。
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