研究課題
Ⅲ型ナトリウム‐リン酸共輸送担体であるPit-1は、ユビキタスに発現しており、無機リン酸の細胞内輸送に関わる共輸送担体であるが、その機能については不明な点が多い。筆者らはマウス軟骨細胞株やヒト胎児腎臓由来細胞株を用いて、Pit-1が細胞外無機リン酸応答性に関与し、細胞外無機リン酸シグナルとリン酸利尿因子であるFGF23により惹起されるシグナルが、Pit-1とFGF受容体を介して下流のカスケードを共有することを明らかにした。今回、ヒトのX染色体優性低リン血症性くる病のモデルで、Phex遺伝子に変異を有し高FGF23血症を呈するHypマウスを用いて解析を行った。20週齢の野生型マウスおよびHypマウスの長管骨を微細化し、コラゲナーゼによる消化とEGTAによる脱灰を反復することにより骨芽細胞と骨細胞を単離し、リン代謝関連遺伝子の発現の検討をした。Fgf23は野生型マウス、Hypマウスともに骨細胞での発現が骨芽細胞と比較し有意に高く、また、Hypマウスの骨細胞では野生型マウスより発現が増加していた。Pit-1の発現は、Hypマウスにおいて、骨芽細胞、骨細胞ともに野生型マウスより有意に高く、また骨細胞では骨芽細胞より発現が増加していた。同じくⅢ型ナトリウム‐リン酸共輸送担体であるPit-2は、野生型マウス、Hypマウスの骨芽細胞、骨細胞において発現が低かった。さらに、野生型、Hypマウス胎児の血清リン値に差は認められず、胎児長管骨においてもPit-1の発現量に差はなかった。これらのことから、20週齢HypマウスにおけるPit-1の発現レベルは、出生後の血清リン値の低下に伴って代償的に増加したことが示唆された。
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