研究課題/領域番号 |
23791219
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
徳力 周子 福井大学, 医学部, 助教 (60510237)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 酸化ストレス / 慢性肺疾患 |
研究概要 |
1)早産児における経時的な酸化ストレスマーカーの測定福井大学医学部附属病院において在胎32週未満で出生した新生児8名について、修正40週まで、または退院までルーチンに行われた血液検査・尿検査の残検体を採集した。また、血液ガス検査で同時にCO-Hb、Met-Hbを測定した。2)平成24年度動物実験の予備実験ICRマウス(体重30~40g、妊娠期間19日)を利用して、慢性肺疾患モデルマウスの作成を行った。肺胞発達段階としてヒトの26週までのcanalicular phaseに相当するマウスの妊娠17日目に麻酔し、子宮を露出させ、直視下にLPSまたは生理食塩水を胎嚢内に注入し閉腹した。注入24時間後に帝王切開により胎仔を取り出し、未熟児として出生させ蘇生を行った後、代理母マウスにつけて飼育し、ヒトにおける絨毛膜羊膜炎存在下での早産児の状況を再現した。仔マウスの生存率、体重変化を経時的に記録し、生後14日目または生後28日目に肺を採取した。肺重量を測定し、ホルマリン固定後、HE標本を作成して組織学的な検討を行った。LPS0.1μg注入マウスではcontrol群に比べて仔マウスの生存率に差がみられなかったが、0.2μg注入マウスでは生存率が有意に低下していた。そこで、LPS 0.1μg注入マウスにおいて肺の組織学的検討を行った。肺重量はday14ではLPS群で有意に低かったが、day28では有意差はみられなかった。しかし、組織学的な肺胞数、肺胞隔壁の進展状況はLPS群で有意に低下しており、LPS 0.1μg注入で慢性肺疾患のモデルとなるマウスを作成することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連病院からの協力が思うように得られず、自施設の32週未満出生児のみでは検体数が目標に届かなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1)早産児における経時的な酸化ストレスマーカーの測定目標数は12名とした。残り4名であるが、自施設のみでもおよそ半年以内にデータを収集できる見込みである。2)動物実験平成23年度の予備実験の結果を踏まえて、BPDモデルマウスから採取した血液・尿検体における血中・尿中NO代謝物(NO2-/NO3-)、血中ADMAを計測する。また、出生時より生後14日目までPDE5阻害薬を皮下注し、組織学的評価とともに血中・尿中NO代謝物(NO2-/NO3-)、血中ADMAについて検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
動物実験予備実験中に、動物のCO-Hb、Met-Hbまで測定することができなかったため測定機器および消耗品のレンタルが次年度に繰り越され、研究費が多く残った。H24年度はマウスのCO-Hb、Met-Hbを測定するのに必要な動物実験用血液ガス分析器のレンタルおよび消耗品の購入を行う。また、マウス用血中・尿中NO代謝物(NO2-/NO3-)、血中ADMA測定キット、PDE阻害薬など必要な試薬の購入を行う。
|