研究課題
本研究課題の最終目標は、周産期低酸素性虚血性脳症(HIE)に対し、理想的な幹細胞源である骨髄単核球および骨髄間葉系幹細胞による治療法を開発することである。今年度は、骨髄単核球(BM-MNC)の静脈内投与による治療効果を検討した。周産期HIEモデルは、国際的に汎用されている Rice-Vannucci モデルを用い、ラットの新生仔で作製した。生後7日目の新生仔ラットの片側頸動脈を2重結紮切離し、その後8%低酸素負荷を60分行い、片側の梗塞モデルを作製した。BM-MNCに関しては、生後3週齢のラット大腿骨および腓骨から採取した細胞を、Ficoll Paque法を用い単核球分画に分離した。低酸素虚血負荷6時間、あるいは24時間後に外頸静脈から1×10^5個投与した。その24時間後、active caspase 3 陽性細胞数を免疫組織学的に、また、3週間後より行動学的検討を行った。Vehicle 群に比べBM-MNCを投与した群では、海馬におけるActive caspase 3 陽性細胞が少なかった。能動回避学習試験では、Vehicle 群で悪化した回避率がBM-MNC投与により改善する傾向を認めた。また、回転棒試験では、Vehicle 群でSham群より持続時間が短縮を認めたが、BM-MNC投与による改善を認めなかった。今後、他の急性期傷害マーカーの検討と詳細な行動評価が必要である。
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