研究概要 |
1. 子宮内胎児発育遅延(IUGR)児および子宮内で正常発育した新生児(AFD児)のSirt1遺伝子発現の検討:ヒト胎盤RNAから逆転写反応を行い、胎盤由来cDNAを作成した。そのcDNAで、SIRT1のプライマーセットを作成し、PCRを行った。目的の約340bpのバンドが得た。そのバンドを半定量的にIUGR児と正常新生児を比較したが、明らかな違いは見いだせなかった。 2. IUGR児のメタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査:IUGR児およびAFD児で生後4~6か月時、生後7~9か月、生後10~12か月時の脂質検査値を比較した。生後4~6か月、生後7~9か月、生後10~12か月時では、脂質検査値(T-cho,F-cho, HDL, LDL, HDL/LDL比, TG, FFA)に有意な差はなく、どちらの群も正常値を呈していた。 3. 神戸市の人口ベース疫学研究によるLate preterm IUGR児の3歳時低身長の発生頻度:在胎34-36週で出生したLate preterm児の3歳時低身長の発生頻度は2.9%で、正期産児(1.4%)よりも有意に高かった。Late preterm児がIUGRで出生すると低身長の発生頻度は、AFD児より4.5倍高まった。 以上より、IUGR児とAFD児の胎盤において、Sirt1遺伝子発現には差はなかった。また、IUGR児は生後12か月まででは脂質異常を呈さないことが示された。その一方、Late preterm児がIUGRで出生すると3歳時低身長の発生頻度は、AFD児より4.5倍高まることを明らかにした。
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