研究課題
NICUベッドサイドにおいて、研究計画の通り未熟児新生児の輸血療法時における脳血液量、脳内酸素飽和度及び血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度及び前大脳動脈血流抵抗係数の変化を輸血の前後で測定した。その結果、以下のような点について明らかとすることが出来た。1.輸血療法により血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度及び前大脳動脈血流抵抗係数に結いな変化は生じない。2.輸血により脳内酸素飽和度は有意に上昇するが、変化は小さい。3.輸血により脳血液量は有意に減少しており、輸血前の脳血液量の多さ及び変化の度合いの大きさは、貧血の程度及び輸血前の貧血症状(無呼吸発作等)と比例する。よって、輸血前の脳血液量は、今後の検討により輸血の必要性の有無を判断するパラメーターになりうることが明らかとなった。この結果について、雑誌「Transfusion」において報告を行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初研究計画で予定していたヒト新生児における輸血療法時の循環動態の変化についての研究は、おおむね予定通り進捗している。また、ブタ新生仔を用いた急性貧血モデルによる研究では、急性貧血時の脳血液量、脳内酸素飽和度の変化についての検討はほぼ予定通り実施出来ており、今後脳血液量変化の原因、脳血液量自己調整における動脈-静脈成分の変化を検討すために新たな実験系の構築を進めているところである。
ヒト新生児における測定は、1.貧血の進行に伴う変化の測定、2.輸血による貧血症状改善と輸血前脳血流動態の関係により焦点を当てながら継続する予定である。ブタ急性貧血モデルにおける研究では、実験系を発展させ、貧血による脳循環動態の変化をより詳細に検討する予定である。
新生仔ブタの購入、及び麻酔薬、人工呼吸管理における使用ガス、実験管理費用として。またヒト新生児での脳循環動態測定における必要物品(TRSプローベ、固定用アタッチメント等)の購入費として、研究成果の発表の必要経費として使用する予定である。
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Transfusion
巻: 53 ページ: 1459-1467
10.1111/j.1537-2995.2012.03953.x. Epub 2012 Nov 12.