研究課題
前年度に引き続きNICUベッドサイドにおいて未熟児貧血の児に対する輸血療法時の脳循環の変化についての測定を行った。また、輸血前後での貧血症状の改善と輸血前の脳血液量の関係について注目し、輸血前脳血液量が高い児ほど輸血後の貧血症状の改善率が高い傾向にあること確認した。また、新たに血中ヘモグロビン濃度の変化による脳内の光学特性(吸光係数(μa)及び散乱係数(μ’s))への影響を検討すると共に、μa値及びμ’s値の発達的変化を検討した。その結果、新生児頭部の測定において、測定波長域において血中ヘモグロビン濃度は光吸収に影響を及ぼすが、光散乱には有意な影響を生じないことが確認された。一方で修正週数が進むことによりμ’sが上昇することから、脳の発達的構造変化が測定波長域における光拡散乱を増加させていることが推測された。μ’sは赤血球、細胞核、ミトコンドリアの密度により影響を受けると考えられているが、今回の検討より、赤血球の影響が少ないことが示唆された。今後検討を進めることで、μ’sの測定により、脳の発達段階を定量的に計測できる可能性があると考えられた。
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Transfusion
巻: 53 ページ: 1459-1467
10.1111/j.1537-2995.2012.03953.x. Epub 2012 Nov 12.