本研究はマウスES細胞から分化誘導して作成した神経前駆細胞を脳性麻痺モデルマウスに移植し、小児脳性麻痺に対する革新的な神経再生治療法の開発を目的としている。生後6日目のNOD-SCIDマウスを用い、片側総頚動脈を永久閉塞後、一時間の低酸素負荷(hypoxia-ischemia stress) を行い、脳性麻痺モデルマウスを作成した。そしてES細胞より分化誘導して作成した大脳特異的神経前駆細胞を、障害半球の脳実質に注入した。その結果open fieldを用いた行動評価では、未治療群に比して治療群で有意な改善効果を認めた。さらに組織学的検討で障害半球の脳実質に移植した神経前駆細胞の一部が生着していることが観察された。この結果は移植した神経前駆細胞が、脳性麻痺モデルの症状を改善することを示唆しており、小児脳性麻痺に対する神経再生治療法が有用であることが示唆された。
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