研究概要 |
平成23年度に所属研究室において次世代シークエンサー5500 SOLiD(Life Technologies社)が新たに導入された。このことから,当初想定していた候補領域に絞った解析を行う前に次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析を行うことで,ゲノム上のより広い範囲を,早く,安価に探索できることが期待された。5500 SOLiDを使用するにあたり,まず,ライブラリ作成条件(いわゆるウェット実験)とデータ解析(いわゆるドライ実験)の両面にわたり,実験条件の最適化を行うこととした。その結果概ね安定した結果を得られるようになった。これまで代表研究者はSNPマイクロアレイデータを用いたバイオインフォマティクスにより統合失調症候補遺伝子の探索(Kurotaki et al., PLoS ONE, 2011)や中條-西村症候群原因遺伝子PSMB8の同定(Arima et al. 共同筆頭著者, PNAS 2011),3M症候群の片親性イソダイソミー(Sasaki et al., Clin Genet, 2011)を報告してきた。さらにこれらの経験をふまえ,オープンソースソフトウェアとして次世代シークエンサーのデータ解析ワークフロー管理(Mishima et al, BMC Res Notes, 2011)やデータベースアクセスのためのBioRubyプラグインRuby UCSC API(Bonnal et al., Bioinform, 2012)を公開・報告してきた。次年度においては,次世代シークエンサー5500SOLiDを用いて,口唇口蓋裂サンプルの家系(患者・両親の三人組み)を用いてエクソーム解析を実施し,前述の成果を応用しデータ解析を行う。また,解析の結果認められた原因候補遺伝子について,サンガー法を用いた確認実験および,当該遺伝子の機能解析をすすめる予定である。
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