研究課題/領域番号 |
23791236
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
久田 研 順天堂大学, 医学部, 助教 (10420853)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プロバイオティクス / 早産児 / 溶解方法 / 浸透圧 |
研究概要 |
本研究の目的は、正常な腸内細菌叢を確立するためのプロバイオティクスの早産児への最適な投与方法を明確にすることである。早産児のプロバイオティクス投与は壊死性腸炎の発症リスクを軽減することが証明されているが、敗血症予防などへの効果は今だ証明されていない。また、その投与方法は、施設により様々であり統一されたものがない。そこで、平成21年度の全国アンケート調査をもとに、(1)至適溶解・保存方法、(2)至適投与方法を確立し、適正使用を進めてく予定とした。 平成23年度は、まず(1)至適溶解・保存方法を明確するための基礎データを得た。全国調査の結果では、様々な溶解液(5%糖、蒸留水、母乳、人工乳)が用いられ、溶解量も様々であった。そこで、まず溶解に伴う浸透圧の変動が懸念されるため、各溶解液、溶解量の違いによる浸透圧への影響を測定した。M-16V(B.breve 10*9cfu/1.2g/包)を各溶解液に溶解し、浸透圧を測定したところ、蒸留水4mlへの溶解では、浸透圧は等張を示した。しかし、母乳、人工乳、5%ブドウ糖への溶解は、高浸透圧となることが示された。また、蒸留水2mlへの溶解でも、高浸透圧をなることから、蒸留水4mlへの溶解が至適溶解方法であることが示唆される結果であった。しかしながら、4mlの経腸投与は未熟児の消化器への容量負荷となる可能性が懸念される。そこで、分割投与を念頭に置き、溶解後の保存時間による生菌数への影響を検討した。同様にM-16Vを各溶解液4mlに溶解し、溶解直後および4℃24時間後の生菌数をカウントした。結果、母乳および人工乳では、生菌数は保存による影響を受けなかったが、蒸留水および5%ブドウ糖では生菌数が減衰した。以上の結果より、至適溶解方法は、蒸留水4mlに溶解し、直ちに投与する方法であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とおり、至適溶解・保存方法を明らかとし、次年度の至適投与方法の検討に向け、順調にすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
プロバイオティクスの至適溶解方法は明確になったが、効果的な至適投与方法、すなわち、一括投与・分割投与、半量・全量投与による腸内細菌叢への影響は不明である。平成24年度は、実際に早産児に対し、至適溶解方法に統一し、一括投与・分割投与、半量・全量投与といった投与方法の違いによる腸内細菌叢の構成への影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Real rime RT-PCR法による腸内細菌叢解析、便中有機酸・短鎖脂肪酸分析、蛍光マイクロビーズアレイシステムLuminexのよる血中サイトカインプロファイル、Microarrayによる遺伝子発現を予定している。
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