研究課題/領域番号 |
23791238
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40366654)
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キーワード | 低出生体重児 / 低栄養妊娠 / ストレス応答 / microRNA |
研究概要 |
初年度の昨年度は、妊娠中に摂取カロリーを制限した母ラットからの出生仔へのストレス負荷では血中コルチコステロン濃度の高値維持がみられ、その機序に下垂体でのmiR-449aの発現調節異常によるCRF 1型受容体の下方制御の異常が生じることが原因である可能性を示してきた。さらに、miR-449aの発現異常には非翻訳RNA (ncRNA) でグルココルチコイド受容体のデコイとして働くとの報告があるGas5の発現量の亢進が関与する可能性を示してきた。 本年度は、低出生体重ラット仔の下垂体でGas5の発現異常が見られた機序として、Gas5をコードするDNAのプロモーター領域におけるメチル化の解析を行った。Gas5のコード領域5'上流に13個のDNAのメチル化サイト (CpG配列) をDNAデータベースで見出し、それらのメチル化の程度をバイサルフェートシークエンス法で比較した。しかしながら、対照ラットとの間に統計学的な差はみられなかった。最近、Gas5には独自のncRNA分解系が存在することが報告されたことから、出生時低体重ラット仔の下垂体ではGas5の合成が進んでいるのではなく、分解が遅延しているために細胞内のGas5の量が増加している可能性が考えられる。 雌雄の出生時低体重ラットを飼育・交配し、次世代のラット仔を得て、それらのラットに拘束ストレスを負荷すると、血中コルチコステロン濃度の高値維持が観察された。これらのことからGas5以外の遺伝子あるいは遺伝子群でエピジェネティックな変化が生じ、その変化が次世代に受け継がれた可能性が考えられる。次年度以降はマイクロアレイなどを用いた網羅的解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたGas5のDNAのメチル化の変化を解析することができた。残念ながら期待した結果は得られなかったため、組換アデノウイルス投与によるGas5の発現抑制実験は行わず、次年度に向けて他の遺伝子のメチル化の解析を含めた網羅的な解析を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Gas5のコード領域のメチル化の程度をバイサルフェートシークエンス法で比較したが対照ラットとの間に差はみられなかった。Gas5には独自のncRNA分解系が存在することが報告されたことから、出生時低体重ラット仔の下垂体ではGas5の分解が遅延している可能性が考えられたため、分解系についての検討を加える。 出生時低体重ラットからの出生仔も拘束ストレスにより血中コルチコステロン濃度の高値維持が観察されことからGas5以外の遺伝子あるいは遺伝子群でエピジェネティックな変化が生じ、その変化が次世代に受け継がれた可能性が考えられるため、マイクロアレイなどを用いた網羅的解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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