1)アクティブ水疱性類天疱瘡(BP)マウスモデルの血清サイトカイン量の測定:ヒトCOL17発現マウスの皮膚を野生型マウス植皮して免疫し、脾細胞をRag-2KO/COL17ヒト化マウスに静注することでアクティブBPマウスモデルを作製した。移植後、モデルマウスの血清を採取し、各種サイトカインを測定した。脾細胞移植後一過性のIFN-γの上昇がみられたが、IL-4の上昇は見られなかった。以上より、アクティブBPマウスモデルの抗体産生誘導過程においてTh1優位の反応が生じている可能性が示唆された。 2)IL-12KOマウスおよびIL-4KOマウスを用いた抗体産生誘導:各KOマウスに植皮し、血清の抗ヒトCOL17 IgG抗体価を測定した。植皮野生型マウスの抗体価と比較したところ、各群間で抗体価に有意差は見られなかった。抗体サブクラスを比較したところ、IL-4KOマウスはIgG2高値のTh1型の反応を示した。一方、IL-12KOマウスはIgG1高値IのTh2型の反応を呈した。 3)サイトカインKOマウスの脾細胞を用いたBPマウスモデルの作成(今年度実施):各KOマウスに植皮で免疫し、脾細胞をRag-2KO/COL17ヒト化マウスに移植した。いずれの系においてもほぼ同程度の抗体産生と皮疹の発症が観察された。抗体および補体の皮膚への沈着を観察したところ、IL-12KOマウス脾細胞レシピエントではIgG1の沈着が、IL-4KOマウス脾細胞レシピエントではIgG2bの沈着がより強く見られたが、補体の沈着には明らかな差は見られなかった。 以上の結果より、サイトカインのノックアウトは抗体サブクラスに差異をもたらすものの、抗体産生量やBPモデルマウスの表現型、補体活性化に明らかな差を誘導しないことが示唆された。
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