研究概要 |
正常表皮角化細胞および有棘細胞癌株におけるポドプラニン分子の発現調節、機能について解析を行った。 正常表皮角化細胞ではポドプラニン分子発現亢進に、乾癬病態において重要な機能を有するSTAT3を中心としたシグナル経路が重要であることを明らかにしたうえで(J Dermatol Sci, 2012)、ポドプラニン分子が表皮角化細胞のコラーゲンに対する接着能を減弱し、分化を誘導することを示した。さらに、この分化誘導にはb1-インテグリン等の発現および機能調節が関与することが明らかとなった(国際研究皮膚科学会2013にて発表、英文誌投稿準備中)。 有棘細胞癌株を用いた研究では、あらたに細胞密度に依存し、EGF受容体、STAT3経路を介するポドプラニン発現亢進機構を示し、実際にこの機構により亢進したポドプラニン分子により、細胞浸潤能が上昇することが明らかとなった(Cell Signal, 2013)。 実際に、乾癬表皮、また微小浸潤病変を形成する初期の皮膚がん組織における各分子の発現動態は培養細胞における研究結果を反映するもので、皮膚病変形成において、ポドプラニン分子が一定の機能を果たしている可能性が示唆された。
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