研究課題/領域番号 |
23791247
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中島 康爾 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70374832)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 表皮細胞 / 転写因子 / 分化 / 角化 / 増殖 |
研究概要 |
本研究では、Skn-1n の発生機構と表皮への分化や増殖の関連を検討し、転写因子のスプライシングによる表皮細胞の分化・増殖の調節機構の解明に挑戦する。表皮細胞分化におけるSkn-1 のスプライシングの解析:Skn-1 のエクソン1-3の領域をPCR にて増幅して、スプライシング検出用のベクターに挿入、そのベクターをHaCaT 細胞に導入してstable の系を作成。また、レトロウイルスの系も有しているので、それを用いて正常表皮角化細胞にも導入。表皮細胞をCa、レチノイド、ビタミンD3、TGFα、TGFβなどで分化の状態を変えたときにスプライシングがどのように変化するかをRT-PCR にて観察した。Skn-1a とSkn-1n の転写因子結合部位への結合の解析:両isoform の遺伝子の全長cDNA を増幅して種々の発現ベクターに導入する。リコンビナント蛋白にTag をつける。細菌、酵母、ヒトの細胞に導入して、蛋白を抽出。Tag に対するaffinity カラムを用いて蛋白を精製。表皮細胞で発現するK14 遺伝子とインボラクリン遺伝子のプロモーターへの結合を検討した。Skn-1a とSkn-1n 遺伝子導入によるプロモーター活性の変化:両isoform の誘導可能な発現ベクターをHaCaT 細胞や表皮細胞に導入。それらの細胞にK14 とインボラクリンのプロモーター挿入ルシフェラーゼ発現ベクターを一過性に導入。Skn-1a とSkn-1n 遺伝子を誘導した時のプロモーター活性を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Skn-1n の発生機構と表皮への分化や増殖の実験をしている。また、転写因子のスプライシングによる表皮細胞の分化・増殖の調節機構の解明に向けての実験をしている。
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今後の研究の推進方策 |
両isoform の遺伝子を抑制可能な種々の配列のsiRNA を少量作成し、導入試薬にて培養細胞へ導入しSkn-1a とSkn-1n の発現抑制効果を見る。ノックダウン効率のよいsiRNA をバルクで作成し、HaCaT 細胞や表皮角化細胞に導入する。同時に、それらの細胞にK14 とインボラクリンのプロモーター挿入ルシフェラーゼ発現ベクターを一過性に導入し、 Skn-1a とSkn-1n 遺伝子を誘導した時のプロモーター活性を測定する。それぞれの発現ベクター、誘導可能な発現ベクターを表皮細胞に導入する。また、別の系では、上述したようなsiRNA も培養表皮細胞に加える。培養表皮細胞での種々の角化のマーカーとなる遺伝子の発現をRT-PCR で、蛋白の発現をウエスタンブロットで測定する。実際に表皮細胞の形態変化も観察する。Skn-1a とSkn-1n の両方に共通する領域、また、それぞれの異なる領域のリコンビナント蛋白を作成する。それを家ウサギに免疫して抗体を得、培養表皮細胞での蛋白発現をウエスタンブロットで確認する。申請者が遺伝子のレベルで検討してきた乾癬や脂漏性角化症の蛋白を抽出してウエスタンブロット、また病変部の切片を用いて免疫組織化学的にSkn-1a とSkn-1nの発現を見る。さらに、有棘細胞癌、基底細胞癌といった悪性腫瘍、角化異常を呈する魚鱗癬、その他アトピー性皮膚炎、湿疹といった表皮の疾患についても同様の検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験補助のための謝金や情報収集のための旅費、実験器具の購入にあてる。
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