Skn-1はPUOドメイン蛋白に属し表皮細胞特的に発現される転写因子であり、表皮細胞の分化や増殖に重要な役割を果たしていることが示唆されている。転写因子は細胞質で翻訳されるが働く場は核であるため、その核移行のメカニズムの解析は重要である。近年、組織や細胞特異的に転写因子の核移行がコントロールされている報告も多い。しかし、Skn-1表皮細胞での核移行を詳細に研究した報告はない。本研究の目的はでは表皮の分化、増殖に重要な転写因子のSkn-1の表皮での役割や機能を明らかにするために、Skn-1の核移行のメカニズムや調節の解析に焦点をあてる。コンピュータープログラムを用いた本蛋白の核移行シグナルの検索では、275-285に存在するGRKRKKRが核移行シグナルであることが強く示唆された。また、その核移行シグナルを含むGFP融合リコンビナント蛋白では、コンストラクトpEGFP-Skn-1a 258-287、269-287、273-287、279-287、and 279-285はほとんど同じ核移行を示し、コンストラクトpEGFP-Skn-1a 207-295と207-287は比較的低い核移行性を示した。さらに、変異コンストラクトを用いて、PMAで角化誘導した培養表皮細胞で核移行を検討したところ、コンストラクトEGFP-Skn-1a 207-287、GFP-Skn-1a 207-287m1、and EGFP-Skn-1a 207-287m2はPMA処理によって核移行性が増強された。その結果、Skn-1の核移行シグナルが表皮細胞の分化や増殖に関連することが示唆された。
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