研究課題/領域番号 |
23791252
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
林 昌浩 山形大学, 医学部, 助教 (30396569)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 色素細胞 / 遺伝性対側性色素異常症 / RNA編集 / 遺伝子診断 / 安定ノックダウン / 悪性黒色腫細胞 |
研究概要 |
A) 臨床的アプローチによる解析遺伝性対側性色素異常症(DSH)は、adenosine deaminase acting on RNA1(ADAR1)変異による常染色体優性遺伝の色素異常症で、四肢末端、特に手掌および足背に、粟粒大から米粒大の濃淡様々な色素斑と脱色素斑が密に混在する皮疹を特徴とする。症例を日本全国のみならず、海外からも集積した。その結果、トルコ人症例を含む17症例より、16種類の新規遺伝子変異を明らかにした。遺伝子変異型と症状についての関連性について解析したところ、変異部位と臨床症状に明らかな相関関係は認められなった。B) 基礎的研究による解析論文報告されているsiRNA配列ならびにタカラバイオ社のアルゴリズムによって予想される配列を用いて、一過性にもっとも効率よくノックダウンする配列を決定し、その配列をSi発現用ベクター(pBAsi-hU6 Neo, タカラバイオ社)に組み込んだプラスミドを作成した。そして、5種類の培養メラノーマ細胞(MNT-1, MM96E, MM96L, MM418, HM3KO)に導入し、ネオマイシン耐性遺伝子を指標として、SiRNA安定発現メラノーマ細胞を樹立した。樹立した細胞のそれぞれのADAR1遺伝子ノックダウン率を明らかにしたところ、約90%、約50%、約20%であった。現在、同様な方法で有棘細胞癌株(SCC、当科で既に樹立保存)、さらには培養正常ヒトメラノサイト(Normal Human Epidermal Melanocytes;NHEM、クラボウ社)と培養正常ヒトケラチノサイト(Normal Human Epidermal Keratinocytes;NHEK、クラボウ社)を使ってSiRNA安定発現細胞樹立を試みている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りに、培養細胞を使って、ADAR1遺伝子の安定ノックダウン細胞を樹立することができている。症例を日本全国のみならず、海外からも集積した。その結果、トルコ人症例を含む17症例より、16種類の新規遺伝子変異を明らかにした。また、5種類の培養メラノーマ細胞(MNT-1, MM96E, MM96L, MM418, HM3KO)に導入し、ネオマイシン耐性遺伝子を指標として、SiRNA安定発現メラノーマ細胞を樹立した。樹立した細胞のそれぞれのADAR1遺伝子ノックダウン率を明らかにしたところ、約90%、約50%、約20%であった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き症例に集積に努める。また、有棘細胞や培養メラノサイト、ケラチノサイトを使って安定ノックダウン細胞を樹立していく。また、樹立したノックダウン培養細胞を使って、多種類のウイルスへの感受性をスクリーニングし、ADAR1遺伝子の対ウイルス免疫における役割を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、培養細胞を使って、(1)安定ノックダウン細胞の樹立、(2)樹立した細胞を使用してウイルス感受性の変化を調べる予定であることから、主に細胞培養するための消耗品の購入に使用する。また、一部は成果発表のために論文を作成する費用にも充てる。
|