研究課題/領域番号 |
23791253
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 泰大 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20455934)
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キーワード | 神経線維腫症 / 神経線維腫 / TNF-alpha |
研究概要 |
神経線維腫症I型(以下NF-1)は全身の神経系を侵す常染色体優生遺伝の神経系疾患で、主に進行する皮膚の神経線維腫が全身に生じる。時に一部の腫瘍は巨大化・悪性化し、患者のquality of lifeおよび生命予後を著しく低下させる。以上のようにNF-1は神経線維腫増殖の制御が本疾患治療の鍵となる。研究代表者は神経線維腫細胞の増殖に影響を与える様々なサイトカインを検索したところ、tumor necrosis factor alpha (以下TNF-α)が他のサイトカインに比べて有意に強い神経線維腫細胞の増殖能を有し、腫瘍組織内に存在する肥満細胞がTNF-αの分泌に深く関わっていることを見いだした。さらに近年皮膚神経線維腫を再現したマウスの系統が確立された。この登場によりin vivoでの治療法検討や病態の解明が可能になってきた。 そこで本研究では既に応募者がin vitroで見いだしたTNF-αが神経線維腫の増殖能を増強するという効果について、in vivoにてTNF-αが神経線維腫の病態にどのように関わっているかを明らかにすることを目的とする。 神経線維腫症病態モデルであるCAMK2-Cre-TgTg/+;flox-NrasG12V-TGTG/+マウス、さらに比較実験のための各腫瘍・癌腫モデルマウスであるB16F10、乳癌モデルマウス、骨肉腫モデルマウスを用いてTNF-αを含む各種サイトカイン(aFGF、bFGF、HGF、NGF等)を投与した。種々の濃度暴露や投与回数、time courseによる増殖能の差異などにつき、各腫瘍の増大の差異を異なる腫瘍間および非投与群と比較検討しており、前年にくらべて、経過観察期間が長くなり、観察期間中において各種マウス間に腫瘍径計測における差異が徐々に出現し,現在さらに経過観察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
並行してTNF-αプロモーター下流にC/EBPβ cDNAを組み込み、このコンストラクトを胚移入し、TNF-αを強制発現するトランスジェニックマウス作成の準備をする予定であったが、多忙な他業務および平成24年度末の施設異動のため、見込んでいたエフォートが達成できずこちらが未施行である。
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今後の研究の推進方策 |
TNF-αによる腫瘍増殖については各モデルマウスで徐々に腫瘍量の差が出てきているため、さらに各モデルマウスに抗TNF-αレセプター抗体を種々の投与経路および濃度で投与し、各腫瘍の増殖抑制効果の差異を 異なる腫瘍間および非投与群と比較検討する。この際、種々の濃度暴露や投与回数、time courseによる増殖抑制効果の差異や最大効果もあわせて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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