研究概要 |
平成24年度の研究計画はCCL19およびCCL21がマウスのランゲルハンス細胞(LC)からのCCL17およびCCL22産生に及ぼす影響のELISA法での検討することであった。研究の結果、未熟LCを培養し成熟させる過程で、CCL19およびCCL21を作用させると、LCからのCCL17産生が著明に増強されることが明らかになった。その作用はCCL19においては100nM、CCL21においては10nMの濃度にピークがあり、濃度曲線状のピークに違いがみられた。しかし、作用のピークにおけるCCL17産生増強作用は同等であった。 平成23年度および平成24年度にわたる本研究の結果をまとめると、1.未熟LCにはCCR7の発現は認められないが、成熟LCはCCR7 mRNAを発現し、実際にCCR7のリガンドであるCCL19, CCL21に対して10nMをピークにほぼ同等の細胞走化性を示すこと、2.未熟LCが成熟していく過程でCCL19およびCCL21を作用させると、CCL19は100nMをピークとして、CCL21は10nMをピークとしてLCからのTh2ケモカインであるCCL17産生を著明に増強する作用があることが明らかになった。 以上より、CCL19およびCCL21がLCからのTh2ケモカインであるCCL17の産生を増強し、LCへのTh2細胞の遊走を増加させることでTh2反応の促進に関わることが示唆された。LCはアトピー性皮膚炎のようなTh2疾患の病態において重要な役割を果たす抗原提示細胞と考えられており、これらの疾患におけるケモカインをターゲットとした治療戦略を考える上で今回得られた結果は極めて有用である。
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