研究課題/領域番号 |
23791259
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
石井 貴之 金沢大学, 大学病院, 助教 (90420330)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 有棘細胞癌 / TWIST / 上皮間葉移行 |
研究概要 |
金沢大学皮膚科で外科的治療を行った有棘細胞がんの組織を用い、TWISTの免疫染色を行った。浸潤がんの検討では、TWISTの発現の亢進が確認された。一方で、同時に免疫染色を行った、Snailについても発現の亢進がみられた。また、E-cadherinについては、多くの症例で発現が確認できたが、その程度にばらつきがみられた。Human papilloma virusについては、免疫染色では発現はみとめなかった。従来からHuman papilloma virusとの関連が示唆されている有棘細胞がんの類似疾患であるBowen病から生じた有棘細胞がんについても同様に検討したが、免疫染色ではHuman papilloma virusの発現は認めなかった。次に表皮内癌についても同様の検討を行ってみた。TWIST, Snial, E-cadherinともに発現がみられ、Human papilloma virusについては発現がみられなかった。表皮内癌のE-cadherinは全例で全体が均一に染色されていた。転移リンパ節についても同様に検討してみたが、TWISTとSnailの発現の亢進、E-cadherinの発現はみとめた。Human papilloma virusの発現はみられなかった。これらを踏まえると、蛋白レベルの発現は、E-cadherinとSnailについては発現の亢進が予測される。ただし、その染色パターンや染色程度に差があり、全体が染色されるものと、部分的に染色されるものがある。全く染色されない症例はなかったため、TWISTとSnail、E-cadherinついては染色パターン別に検討が必要と考える。Human papilloma virusについては蛋白レベルでは確認が出来ていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は病棟医長として臨床診療との並行で研究を行っており、そちらの業務に時間が多く割かれてしまった。ただし、症例のリストアップや検体の確保は順調に進んでいるため、今後遅れているRNAに関する解析を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
蛋白レベルでの発現については、一通り確認が終了しているため、TWISTを中心にメチル化の有無やmRNAの発現をPCRを用いて確認する予定である。免疫染色の結果は、染色パターンに着目して再評価を行う。これらのデータが出た時点で、臨床経過と照らし合わせて進行度との関連性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度と同様に免疫染色の検討を継続し、TWISTのメチル化の有無についてMethylation-specific PCRを用いて検討する。また、TWISTのmRNA発現をquantitative RT-PCRで検討する。それらの抗体やPCR用の試薬関連に研究費を使用予定である。次年度に13万円程度研究費が残ったのは、予定していた実験が遅れたために試薬の購入が遅れた分である。次年度にはPCR用の実験に用いる予定である。
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