研究課題
本研究では、ダイオキシンなど芳香族炭化水素類に対する細胞のレセプターであるaryl hydrocarbon receptor(AhR)のシグナルに着目して、アトピー性皮膚炎の病態を解明する事を目的としている。前年度までに、AhRを過剰発現させたマウスの培養表皮細胞とトランスジェニックマウスを用いて、皮膚炎を惹起させる因子の候補として、インターロイキン33(IL-33)とthymic stromal lymphopoietin(TSLP)を見いだし、それらが上昇していることをin vitroで確かめた。今年度は、さらに研究を進めた。AhRのアクチベーターを添加し、マウス培養表皮細胞の変化を解析した。IL-33とTSLPの発現上昇を、mRNAとタンパク質で、確かめることができた。以上よりAhRが活性化するとIL-33とTSLPが発現上昇することが確かめられた。また、AhRの過剰発現培養表皮細胞の培養上清を、培養樹状細胞に添加したところ、CD86の発現上昇をフローサイトメトリーで確認した。AhRが活性化すると表皮細胞が分泌する物質が樹状細胞を活性化することが確かめられた。そして、AhRを皮膚で過剰発現させたマウスを用いて、免疫染色の手法を用いて、解析を進め、IL-33とTSLPの表皮での過剰発現を確認した。また、炎症部位に浸潤している細胞については、樹状細胞が多く、かつ活性化していることが分かった。以上のことは、私達の考えたAhRによる皮膚炎症惹起のメカニズムの根拠となると考えられる。今後は、さらに裏付ける研究を進めてゆく必要がある。
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Epidermal-type FABP is a predictive marker of clinical response to systemic treatment and ultraviolet therapy in psoriatic skin lesions
巻: 68 ページ: 199-202
DOI: 10.1016/j.jdermsci.2012.09.002
Journal of Dermatological Science
巻: 66 ページ: 240-2
10.1016/j.jdermsci.2012.03.005