進行期皮膚悪性腫瘍に対する抗癌剤感受性試験は保険診療・先進医療として承認されておらず、当科では2009年度5例(メラノーマ3例、有棘細胞癌2例)、2010年度6例(メラノーマ2例、有棘細胞癌2例、乳房外パジェット病1例、原発不明癌1例)に施行した。2011年より研究期間となり、2011年度4例(メラノーマ3例、原発不明癌1例)、2012年度11例(メラノーマ5例、有棘細胞癌3例、乳房外パジェット病2例、皮膚付属器癌1例)をHDRA法が商業化されているエスアールエル社に検体を提出し癌剤感受性試験を受けた。2011年度以降の15例中14例で結果が判明し、内訳は感受性群10例、低感受性群4例となった。2011年以降では有棘細胞癌StageIVの1例は感受性を示した抗癌剤による術前抗癌剤投与により、PRを示し、その後根治術可能となり、現在もCRを継続している。2011年以前の有棘細胞癌StageIVの1例でも同様の治療経過で現在もCRを継続している症例がある。メラノーマStageIIICの3例中2例で根治術後に感受性を示した抗癌剤投与により、現在もCRを継続している。 未だ観察期間が充分とは言えないが、感受性群ではCR、PR症例を複数症例経験した。CR症例については、2011年6月3日・4日開催の第27回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会で報告した(抗癌剤感受性試験に基づいた化学療法を行った乳房外Paget病の1例)。さらに観察期間を延長し、抗癌剤感受性試験の有用性を示すことができればと考えている。
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