研究概要 |
脂腺細胞は、スクアレンなどの脂質を合成し、皮脂として皮膚表面に分泌する。我々は、ラットの脂腺細胞を培養したところ、脂質を含む膜小胞を活発に生成・分泌することを発見して、同膜小胞を「Sebosomes」と命名した(Endocrinology 2005年)。Sebosomesはリサイクリングエンドソームおよび、早期-後期エンドゾーム、リソゾーム、脂質ラフトなどを含有する新型の複合膜系であった。また、Sebosomesはスクアレンやヒストンを濃縮しており、保湿機能に加え、抗菌活性が示唆された。今回、Sebosomesの生成・分泌機構を検討する目的で、種々の細胞膜小胞のマーカーを解析した。 方法としては、脂腺細胞はEGF添加DMEMで培養維持した。脂質ラフトはcholera toxin B-Alexa Fluor 555 conjugateを、lysosomesはLysoTrackerを、細胞膜はwheat germ agglutinin-CF488 conjugate、CellMask Orange Plasma membrane stainを、それぞれ培養液に添加し、各々の細胞内の蛍光の局在を観察した。Rab4, Rab5, Rab18, CD63の分布は、細胞を固定後、蛍光免疫染色法で検出した。 その結果、脂腺細胞に添加した各マーカー分子は、生成後分泌されたSebosomes膜に局在が認められた。また、SebosomesにはRab4, Rab5, Rab18, CD63など種々の膜系のマーカーおよび、エクソソームのマーカー蛋白質を含有していた。 以上より、Sebosomesは細胞膜および、種々の内膜系を含む複合膜系と考えられ、開口分泌で分泌されるエクソソームとは異なる分泌機構が示唆された。
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